小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

『ディア・ドクター』をみた-1

INDEX|59ページ/87ページ|

次のページ前のページ
 

すし屋に行った



 寿しは好きなほうで、年に何回かはすし屋に行く。
すし屋では、カウンターに腰をおろして、大将とサシで注文しながらつまむのが通らしい。
私は知らない人と面と向かってものを食べる事は得意でない。
相手のことが気になって、食事も喉を通らないほうなのだ。
そのため、おいしい寿しだとわかっていても、大将の目の届かない店の隅で、ひっそり「上寿司」などを食べることが多い。
味は落ちるのだろうが、余計な神経を使わないだけおいしく食べられる。

 ただし例外もあって、たまたま大将が知り合いだったりすると、小心な私もリラックスして、好きなことを言いながら、好きなものを食べるのはいい気分だ。
特に、人におごってもらって、高いネタを好きなだけ食べるときは至福を感じる。
お金を払う人が、だんだん青くなって、気難しい表情になるのがわかると、よけい張り合いがでる。

 いつだったか、テレビで「寿し職人が選ぶ日本一の寿し屋」というのを見たことがある。
〈どんなすし屋なのだろう?〉私は興味をもった。
東京都心にある、立派な店構えのおすし屋さんだった。
眼に光のある職人で、最後にこう言った。
「寿しは、愛ですよ」

 〈そうか、そういうものなのか。そう言われれば、たしかに、そういう気もするナア〉
彼が言いたかったのは、ただ寿しを握って食べさせるだけでなく、カウンターを挟んで、客と職人との人間関係も含めて、「愛」だということらしい。
すし屋の職人にしておくのはもったいない。
万が一、怪我でもして、寿しが握れなくなったら、ぜひ、うちの病院の幹部になってほしいと思った。