更新日時:2022-06-28 09:21:36
投稿日時:2022-05-13 14:41:14
ウラバンナ(朱夏紀ー2)
作者: 田中よしみ
カテゴリー :現代小説
総ページ数:4ページ [完結]
公開設定:公開
読者数:1/day 3/month 422/total
ブックマーク数: -
いい作品!評価数:0 users
著者の作品紹介
私は20年振りに帰省したが、故郷の駅前は時間が止まったままで寂れていた。
若い頃たむろしていた喫茶店も商店街も昔のままに古びていたが、この小さな街の風景の中に青春時代の想い出が溶けこんでいた。
母と二人で盆の入りの日に墓参りに行ったが、蝉しぐれも昔のままに迎えてくれたし、40年前に父がやっていた背負子で祖先の霊をお連れした。
その後に、池澤捷一の初盆の法要に行って彼の母親と昔話をしたが、池澤家は彼の子息に代替わりしていた。懐かしい長屋門も茅葺の古めかしい主屋も解体されてモダンな建物に置き換わっており、想い出は心の中にしか残っていなかった。
高校時代のように秋津柊の実家の前を通ると想い出の洋楽が流れていたが、先ず秋津柊の友人である藤城喜子(スナック喜ふじ)を訪ねた。
彼女が開店休業状態で私を待っていたが、カウンターには清楚な白薔薇が2輪だけ飾られていた。それには池澤捷一の遺言と贖罪が込められていたが、ママの話しを聞くうちに、彼が正月明けの電話で言っていた謎の人物の正体が分かってきた。
池澤捷一は死を迎えるまでに、想像を絶する心遣いをしてくれていた。
若い頃たむろしていた喫茶店も商店街も昔のままに古びていたが、この小さな街の風景の中に青春時代の想い出が溶けこんでいた。
母と二人で盆の入りの日に墓参りに行ったが、蝉しぐれも昔のままに迎えてくれたし、40年前に父がやっていた背負子で祖先の霊をお連れした。
その後に、池澤捷一の初盆の法要に行って彼の母親と昔話をしたが、池澤家は彼の子息に代替わりしていた。懐かしい長屋門も茅葺の古めかしい主屋も解体されてモダンな建物に置き換わっており、想い出は心の中にしか残っていなかった。
高校時代のように秋津柊の実家の前を通ると想い出の洋楽が流れていたが、先ず秋津柊の友人である藤城喜子(スナック喜ふじ)を訪ねた。
彼女が開店休業状態で私を待っていたが、カウンターには清楚な白薔薇が2輪だけ飾られていた。それには池澤捷一の遺言と贖罪が込められていたが、ママの話しを聞くうちに、彼が正月明けの電話で言っていた謎の人物の正体が分かってきた。
池澤捷一は死を迎えるまでに、想像を絶する心遣いをしてくれていた。