もやし
「なあにー」
「それ、もやしの芽取るのそんな楽しい？」
「めっちゃたのしいよー、なに、やるー？」
「…やんない」
「そっかー」
「まあ基本俺は美味しいもやし食べれれば良いし」
「ほんともやし好きだよねーお前ー」
「安いし、旨いし、最強じゃん」
「…そっかー、そっかー」
「なに？」
「…俺は安くないからなー」
「ばっ！なにが！」
「えっだってお前俺のこともやしみたいで好きって言ってたー！」
「そりゃおまえ…もやしみたいだもんよ」
「どこがー！」
「ひょろ長いし、肌とか真っ白だし、あったかくなるとしなしなーってするし」
「しなしなしてる…？」
「お風呂とかしなしなじゃん、すぐのぼせて」
「それってさあ…なんかちがうよねー」
「名前も林ってもやしっぽいし」
「なに？いじめー？」
「いやいや」
「もーいい、もやしの芽取るのに集中するわー」
「あっ、言い忘れた」
「なに」
「もやしよりはやしの方が好きだから」
「…！そっ、そーですかー！」
別にこれだけでころっとほだされちゃう安い男じゃないぞ断じて俺は。
ソレにおいしくもない。そうだ俺はもやしじゃないからな。