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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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また「日曜院長」になった

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 それから一週間たった。
ようやく新しい白い歯が入いる日が来た。
白い歯は健康保険がきかない。
部長は、十万円ぐらいかかると言っていた。
私は預金から十万円おろして、自室の引き出しにしまっておいた。

 診察室に行くと、部長が待っていた。
最後の治療は、Kさんでも「干物氏」でもなく、部長自らがやってくれた。
さすが部長は違う。
仮歯をはずす手際が若手とは大違いだ。
金属の器具を当てると、グイッと力が入って、一瞬で外れた。
治療はわずか十分で終わった。

 「新しい歯が入ったんですか?」と聞くと、
「エエ、ピカピカですよ。
もし何かありましたら、また来てください」と言った。
眼鏡の奥が微笑んでいた。
部長が今まで見せた一番やさしい顔だった。

 前回の治療のとき、
「動いてる歯がありますネ。」と遠まわしに私を脅迫したと思っていたが、部長は忘れてしまったらしい。

 私はホッとして自室に戻り、鍵のかかる引き出しから十万円を出して、会計に向かった。