土曜日は山へ登る日なのか
二人のオバサンが大きな声で話している。
「昨日サ、医者行ったら、最初、血圧が180ぐらいあったんだよ。
これは大変だと思って、二回目測ったら、160ぐらいでね。
センセイ、大丈夫?ってきいたらネ。その先生、何てったと思う?」
「・・・・」
「大丈夫だって、死なないから。それより遭難しないで帰っておいでって、言ったのよ。いい先生だよネ」
「そうだネ、親切な先生だね。」
楽しい会話だ。
でも私なら、
「遭難しても、血圧の薬だけは忘れないで飲むように」
と、さらに適切な指示をしていただろう。
彼女たちが山へ行くのはどうしてなのか?
「そこに山があるから」なのだろうか?
私が病院に行く理由とはあまり似ていない。
私が病院に行くのは、「そこに病院があるから」というロマンチックな理由ではない。そこに行かないと食べて行けないからである。
作品名:土曜日は山へ登る日なのか 作家名:ヤブ田玄白