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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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「オオカミ婆ちゃん」なのか

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 奥方は息子の嫁二人と和気あいあい。
かなり年季の入った女子会を楽しんでいるらしい。
Sはその仲間にも入れず、一人寂しく書斎に籠ったというわけだ。

「あのね、お前は一家の主で、皆を養っているんだろ。もっと自信もっていいんじゃないのか」
「そうなんだろうがね、家にいてもつまらないので、お前の顔見に来たってわけだよ」

 Sはとうとう本音を吐いた。
それにしても人間の性格は幾つになっても変わらないものだ。
今年、寅年で年男になったSも、あの弱気では猫にも負けそうで、先が思いやられる。

 それでも少しは気が晴れたのか、Sは、「ここでいいよ。ありがとう。またね」と言って一人駅に向かった。