小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
久保あおい
久保あおい
novelistID. 69648
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

独り言

INDEX|1ページ/1ページ|

 
独り言


愛でも愛情でもお金でもない何かが足りない
生きてる意味?自分の自信?
丁度いい言葉というか表現というか
足りない何かをずっと探してる。


12時頃 雨


ふと外を見たら雨が降っていた
テレビの音と混じって雨の音が聞こえる
この日はなんか過去が蘇るような
どこか何かが似ている日だった

まだお昼なのに普段よりも少し暗い
窓に近づくとひんやりとした空気で
夏の終わり初めを感じた

窓の外には傘をさして足早に歩く人
自転車を漕ぎながら傘をさしている人
これから出かけようとする近所の人
いつもと違って全ての動きが速く見えた

白い雲ではなく灰色の雲
大粒すぎず小粒すぎず普通の雨
この日の雨は私を負の感情にさせる雨だった

友達にも会いたくなくて
家族の声も聞きたくなくて
自分に問いかけをして

愛でも友情でもお金でもない足りない何か
それが生きている意味なのか
自分に対する自信なのか分からない何か

自分なりの答えを見つけたい日だった


14時頃 曇


雨も止んで少しずつ晴れてきた
さっきまでの雲達は地球が回っている方向と
同じ方向に移動していった

なんだか昔を思い出すような懐かしい空気感
なんとなく外に出た

いろんな所を何も考えず歩いた
どこか行きたい場所があるわけではない
自分が探しているものの答えじゃなくて
ヒントになりそうな何かを探した

公園を通った時(孤独)が頭に浮かんだ
学校の周りを通った時は(青春)が頭に浮かんだ
駅を降りて河川敷の階段へ向かった
階段を登っている時心臓がバクバクした

どんどん見えてくる景色と
なぜかわからない嬉しさが
私の心を重くさせた

荒川の河川敷についた時
何かが浮かぶと思った
けど何も浮かばなかった

でもここにきた時が一番懐かしい感じがする
言葉で表せないのがちょっと悔しい
心がギュッとなって空を見上げたくなる


17時 晴


河川敷をずっと歩いていた
少しずつ日が落ちて高速道路の電気がついた
反対側にあるマンションの電気もついた
私が一番好きな時間

いつもの場所に座ったり
寝っ転がったり
空を見ていた
みんなが帰ってどんどん静かになっていく
一人だけの空感

風が吹くたび近くにある草たちが揺らいでいた
いつの間にか頭に何も浮かばなくて
なぜか力が入っている体も脱力して
帰ることを忘れるくらいただ空を見ていた

思い出のある曲をイヤホンで聴きながら
目をつぶって過去を思い出した

ずっと隠してきた感情が少しずつ表に出てきて
強がっている自分がこの瞬間だけ消えた
気付いたら川の向こうの明かりが
はっきり見えるようになっていた

隣に置いていたスマホにも明かりがともる

「早く帰りなさいよ」

お母さんからの連絡だった
帰る場所があることに
心が暖かくなった

探していたものを見つけられた気が少しした
来た道と同じ道を通って駅に向かった

同じ道なのに周りの雰囲気が違って見えた
電車に乗って席には座わらずに
さっきまでいた場所を見ていた

最寄駅から歩いて家に着く

「ただいま」

(今日)という思い出ができた

作品名:独り言 作家名:久保あおい