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魔法少女は枕営業から始めなければならない【第一話】

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1分後に、各部屋から受験生たちが出てきた。それも猛スピードで悲鳴を上げながら。
「キャー、化け物!モンスターが襲ってくるわ!」
地響きをたてながら、恐怖におののいた表情でバッファローのように外に逃げ出していく受験生たち。目分量では部屋に入った人数分が出て行ったような感じである。
「部屋の中でいったい何が起こってるの?化け物とか、モンスターとか言ってるし。今のが、足ぶった切り試験だとすると、ここから出て行ったということは不合格ね。ライバル減少だわ。いひひ。」
意外にも冷静でビミョーに卑劣な千紗季。
その後三回の受験生猛脱出を目にした千紗季。
「いよいよアタシの番ね。見たところ、ほとんど足めった切りされてるわね。ここを切り抜けたらライバルはほとんどいないし、二階に行ってソッコー合格するわよ。わははは。」
こうして、千紗季はいちばん奥の部屋に入って行った。
「あれ、アタシひとりなの?おかしいわね。少なくともこの部屋には10人の受験生がいるはずなのに。失礼しまぁす。」
千紗季はドアを開いて中に入った。
「こ、これが受験会場なの?」
部屋にはシングルベッドがひとつあるだけ。窓もない。ライトは点いているので暗くはない。試験官も誰もいない。
「抱き枕が置いてあるわね。あの顔はアタシ!?気持ち悪いわ、いやアタシの顔なんだから、美少女だけど、でも誰かに使われたらイヤだわ。も、もしかした、朋樹の家から持ってきたとか?それならし、仕方ないわね。って、そんな場合じゃないわよ!」
『ムクムクムク。』
黒い煙のようなものが人型になっていく。
『グウウウ~。』
「な、何よ、これ?枕のそばに立ってるわ。と、ということはこれがウワサの夢枕モンスター!?タダの都市伝説かと思ってたけで、本当にいたの!」
『ガアアア~!』
ゾンビのように、腕を垂れて千紗季に近づいていく夢枕モンスター。
「ちょ、ちょっと、来ないでよ!アタシなんか食べても、コラーゲンたっぷりでおいしいハズだけど、食べてほしくなんかないわ!うわああ~!」
千紗季は火事場の超速度で疾走して逃げ去った。