小さな個人塾の「Z会」「進研ゼミ」との戦い方
10年ほど前に
「通信添削をやってみようと思うんだけど・・」
と友人に言ったら
「やめとけ!Z会とか進研ゼミみたいな大手に勝てるわけないでしょ」
と頭ごなしに否定された。当たり前ですよね。三重県のいなべ市なんて小さな町の無名の小さな個人塾なんかに目を向けてくれる高校生や保護者がいるわけないもんね。全国をマーケットにするといっても、大手のようにマスコミを使える資金なんてないし・・・。
でもね、私には勝算があったんだよ。名古屋にある河合塾学園、コンピューター総合学園HAL、名古屋外国語専門学校など7つの予備校・塾・専門学校で講師をさせてもらったんだけど、出会った講師に旧帝卒の講師がいなかったし、英検1級に合格している講師もいなかった。40人いる講師のうち生徒のアンケートで2番になったし。勝てる!ww
もちろん、通常の添削では勝ち目はないと思った。それで、ニッチな仕事で勝負をしようと思ったわけ。つまり、三重県近辺で最高ランクに評価される大学をターゲットにする。ここ三重県北部では私の母校の名古屋大学が一番人気だけど、評価が高いのは京都大学なんです。東大は遠すぎるからね。
塾に通ってもらっている四日市高校の上位の子たちは
「うちの担任が京大受けたら絶対に落ちる」
とか、
「駿台の京大模試の採点は絶対におかしいわ!」
と言っている。チャーンス!
いくら世間の評判の良い四日市高校の教師でも、賢い子は自分の目の方が確かと思っているからさ。駿台や河合塾の模試も、自分の判断で評価をしている。駅前にビルがあるとか、マスコミの露出が多くてもぜーんぜん関係がない。
だから、そういう優秀な子が納得する方法を考えたんです。アメリカで教師をしていたとか、英検1級に合格しているとか、名古屋の有名な予備校で勤務していた経歴などではダメ。やっぱり、受験本番の点数。
それで、50代の時に高校生に混じって京都大学を7回受けて成績開示をしてみたわけ。
京大入試の成績開示
平成18年、20年(文学部) 正解率の平均 66%(受験英語)
平成21年、22年(教育学部) 正解率の平均 76%(資格英語)
平成24年、25年(総合人間) 正解率の平均 79%(ネイティブ英語)
その結果を当時普及しつつあったSNSで公開してみたんです。まず、YouTube 。「こうやって英検1級に合格しました」とか「こうやって京大数学で7割を取りました」とタイトルつけて投稿をしてみたんです。
すると、無名の私の動画が4万回とか3万回とか硬い内容を朴訥と話しているだけと思えない再生回数になったんですよ!!ビックリでしょ。
次に、その経験をアメブロに書いてみたらフォロワーが1000名を超えました。これにも驚きましたが、需要があることを確信!!それで、ココナラに「京大英作文の添削をします」と登録したら競合が多いのに1番多く依頼がきた。
「京大 英作文 添削」で検索すると1番上に出てくると思います。
それで、次にこの経験談をココナラの漫画家さんに作画を依頼して描いてもらったら「私の京大合格作戦」(エール出版)の2020年度版から2022年度版まで3年連続で掲載してもらうことになった。
そうなると、Yahoo で「京大 英作文 添削」を入れて検索すると1ページ目に上がる10記事のうち5記事は私の関係の記事ばかりになりました。本当にビックリです。
合格実績も9年連続して京大に合格者が出て、そのうち3名が京大医学部医学科という自分でも信じられない状況。つまり、強い需要があったわけ。供給側である既存の学校、予備校、通信添削が信用を失っているとしか思えないんですね。
英検1級に合格している現役の医師の方から依頼を受けたことがありました。それが変な依頼で息子さんが京大医学部に不合格になった。それで、予備校に通わせるず自分が指導をしているとのこと。
ただ、京大の採点基準がよく分からないので答案の減点箇所を教えてほしいと。それをもとに自分が指導すると言われたのです。
見せてもらったら「三単現、時制、冠詞、単数・複数」のミスが複数見つかりました。そう伝えたところ
「そんな些細なミスではなく、得点力のあるカッコイイ表現を教えてくれ!」
とのことでした。
え?些細なミスではないし、カッコイイ表現なんて存在しません。受験で最強なのはシンプルな表現なんです。でも、分かってもらえませんでした。
あるいは、名前を出せば誰でも知っている関西の超進学校の教師の方からの依頼を受けたこともありました。教え子が駿台の京大模試を受けたら評価が25%の得点率だったそうで、その生徒に低評価の理由を解説する必要に迫られたとのこと。
それで、その生徒の方の答案を見せてもらったのです。
すると、どう見ても合格レベルの答案でした。つまり、得点獲得率が7割は超える立派な答案でした。そう伝えたところ
「いや、駿台の採点官が25%というには理由があるはずだから何がなんでも推定してくれ!」
とのこと。その先生にとっては駿台という看板は絶対で、私の言うことなど耳に入らない様子でした。
こんなカオスな状態なので、賢い受験生の子たちは教師、予備校講師、添削者を信頼できず、
「もっと確実で、客観的な話ができるヤツはおらんのか!?」
と、イラ立つわけです。そこに需要があった!!
大企業というのは最大の利益を上げるためにファミリーレストランのようなメニューを揃えます。個人塾はそうではなくラーメン専門店のような戦略を立てる。そうすれば負けるはずがないのです。
無知のため誤った指導をしてしまうと、若者の未来が台無しになりかねない。そんな思いを持つ熱い人でないと勝てないけどね。
作品名:小さな個人塾の「Z会」「進研ゼミ」との戦い方 作家名:高木繁美