ドクターヤブ田の、血液型大研究
さて、他人のことはどうでもいいのだ。
(「他人に関心が薄いのが、AB型の特徴」とネットにあった。)
自分のことを書かなければならない。
ヤブ田のこれまでの人生の反省である。
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反省、その1
大学の研究室に入って5年ぐらいして、アメリカの某所に留学させてもらった。
ハンバーガーとマッシュポテトばかり食べながら夢中で研究に打ち込んだ。
ネズミに注射を打ち、心臓に近い太い血管から血液を採取して、ある病気の原因を究明しようとしていた。
ある時。
麻酔が浅かったため、痛かったのだろう。
ネズミは飛び上がって、私の右手を噛んだ。私も痛かった。
何十年もたった今でも、ネズミの歯形が右手親指と人差し指の間に残っている。私がノーベル賞でも取っていたら、名誉の負傷と大いばりだが、白く瘢痕化した歯の後が虚しく残っているだけだ。
実験はむしろ楽しくて、ヤブ田は深夜も厭わず、ネズミ相手に奮闘したものだ。
ところが実験の楽しさに魅せられた私は、その成果を研究論文にまとめることに気持ちが向かなかった。
そのツケは、帰国が迫ったころにやってきた。
論文がほとんど出来なかったのだ。
論文が出ないということは、研究者にとって、何もしなかったと同じことだ。
これでは何のため留学したのかわからない。
ネットによると、「AB型は、1つのことに集中する時、周囲が見えなくなるほどめり込むのに、しばらくすると全く興味を示さなくなることも。」である。
作品名:ドクターヤブ田の、血液型大研究 作家名:ヤブ田玄白