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月音 光(つきねあきら)
月音 光(つきねあきら)
novelistID. 69444
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疑惑のマッサージ店

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ふぅ身体が重いな。
日曜はゆっくりできたのに先週の疲れがまだ抜けない。


営業で歩き回るので足がパンパンだ。
自販機で缶コーヒーを買い休憩してると、すぐ傍にマッサージ店を見つけた。
チェーン店などではなく個人経営の店のようだ。

ドアを開けるとガッチリとした体格の店主に迎えられた。

「あの、今大丈夫ですか?」

「はい、すぐにご案内できます」

部屋に案内されて施術着に着替えうつ伏せの姿勢でマッサージが始まる。
ベッドの顔の部分はくり抜いてあるので、鼻がつぶれるとか、呼吸が苦しいということはない。

始まってすぐに来客があった。
別のスタッフが対応するのかと思ったら店主自ら出て行く。

「お部屋でお待ち下さい」と声が聞こえたので、おそらくその客は自分のマッサージが終わるまで待つのだろう。

店主は戻って来るとベッドの顔のすぐ傍にサイドテーブルをもって来て、その上にいい香りのするお香を置いた。

「これはリラックス効果のあるお香です。」

「マッサージの効果ががより一層上がります。」

話し終わるかどうかのタイミングでまたもや来客。

慌ただしく出ていく店主だが、流石に断るはずの予想を裏切り

「お部屋にご案内しますのでお待ちください。」の声。

え?この店に来てから店主以外の声を一度も聞いていない。

と、思った時強烈な睡魔に襲われた。








ふと目が覚めた時、背中に心地良い重さを感じた。
柔らかくて小さなプニプニした手で背中を押されている感覚。

まだ身体が動かないが、かろうじてドアの下あたりだけ少し視界に入る。
ドアが開く音が聞こえ部屋に入って来る男の下半身が見えた。
店主以外にも人がいたのか?


男が施術台に近づくと急に背中が軽くなった。
???
男は一言も発せずにすぐにドアから出て行く。


店主の声が聞こえた。

「はい、お疲れ様でした。マッサージ終了です。」

そう言うと指をパチンと鳴らした。

あ、身体が動く。



着替えて帰ろうとした時、隣の部屋のドアの隙間から客の背中でフミフミする猫の姿が一瞬見えた気がした。

まさかね。