ドクター・ヤブ田の、夢よもう一度
私は必死に頭をひねって答えた。
「そうですか。それじゃソーシャルワーカーさんとよく相談して検討させてください」と言ってその場を逃げ出した。
〈アア、これから大変だナ〉ヤブ田の心は重くなった。
母に相談するのは無理である。
ズボラな兄貴と相談しなければならないし、うるさ型の姉の意見も尊重しなければならない。
そう考えると、コンビニのプリンか、ジャージー牛乳プリンかどころの問題ではない。
103歳の母の再出発に関わる重大問題である。
〈日曜日のプリンもあと何回かなあ?〉
少し寂しい気持ちで、病院を後にした。
作品名:ドクター・ヤブ田の、夢よもう一度 作家名:ヤブ田玄白