誕生日
落ち葉がカラカラと音を立てて目の間を横切って行く。
あの葉っぱだって、仲間がいる枝に残っていたかっただろうに。
今日は誕生日なのに一緒に祝ってくれるはずの彼と喧嘩してしまった。
私が悪いんだけどね。
一週間あったから誕生日までに仲直りできると思っていたのに。
まいったな・・・。
アパートのドアを開けたら彼がいるんじゃないかという淡い期待もあったけど、
誰もいない部屋って広くて寒く感じるね。
携帯とにらめっこしてても鳴るでもないし、メールが来るわけでもない。
携帯の意味ないじゃん。
何もする気になれなくてベッドに横になってるといつのまにかうとうとしてた。
テーブルの上に置かれたケーキに灯るロウソクの光が暖かい。
今年は夢で誕生日だね。
夢でいいから彼がキスしてくれると嬉しいんだけど?
そう思った時、唇に何かが触れた。
え?夢なのに柔らかくて温かい?
夢じゃなくて彼が立っていた。
「熱が下がったみたいだね。なにかうなされてたみたいだよ?」
「バカ・・・」
そう言うのがやっとだった。
(終り)
作品名:誕生日 作家名:月音 光(つきねあきら)