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月音 光(つきねあきら)
月音 光(つきねあきら)
novelistID. 69444
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女神と旅人

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灼熱の砂漠をさまよう一人の旅人。

水と食糧は尽き、旅人の運命はもはや風前の灯だった。

水が欲しい・・・。

そう思いながら、旅人はついに力尽き倒れた。







「旅人よ、どうしたのだ?」

遠くで声が聞こえる。

そうか、自分はついに天に召されたのか・・・。

「旅人よ、どうしたのだ?」

目を開けるとそこに女神が立っていた。

「め、め、女神様ですか!!?」

「わらわは砂漠の女神じゃ。旅人よ、どうしたのだ?」

「喉が渇いて死にそうです・・・どうか、み、水を・・・」

「あいにく水は持っておらぬが、わらわの乳を吸えば良かろう」

「お、お願いします!!」

一心不乱に女神の乳を吸う旅人。

「これ、旅人!!吸いながら舌をクルクルするでない!!」

「すいません。いや、吸ってますが。くせなんです」

「これ、旅人!!吸いながら、親指と中指でクリクリするでない!!」

「これもくせなのでお許し下さい」

「そなたのくせは、ずいぶんと気持ちの良いくせじゃのう」

「女神様、もう乳が出ません」

「乳が出なくても、そなたが変な吸い方をするから、別のところが・・・潤っておるぞ」



薔薇の泉からたっぷり蜜を吸った旅人は、元気を取戻し力強く歩き始めた。

旅人に手を引かれて、恥ずかしげに頬を染めた女神が一緒に歩いている。

女神は旅人に魂までも吸われてしまったようだ。



(終り)