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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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理想の部下(おしゃべりさんのひとり言 その74のおまけ)

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その74のおまけ 理想の部下



『理想の上司』ってテーマはよく聞くけど、『理想の部下』ってテーマは注目されてない。

ボスのお兄さんはグループの会長で、超有名な音楽プロデューサー。
こんな会話をしたことがあった。

「なかなかいい人材が見付からないんです」

一所懸命探してるんだけど。ビジネスを任せられるやつって意味で。
何人来ても誰も本気を出してくれない。これが最近の悩み。

「会長はどうやってそういう部下を集めてるんですか?」
「いい人材は見付けなくても、やって来るもんだよ」
「運を信じろと言う意味ですか?」
「もうお前の運命は決まってるだろ? 必ず成功するって」
「はい。そう信じてますけど」

僕は(絶対やってやる!)って思っている。

「なら誰が来ても、うまく行くってことじゃないか」
「でも優秀なやつじゃないと、安心して任せられないんです」
「才能のあるやつなんか、仕事覚えたらすぐに独立して、ライバル企業を作るもんだよ」
「じゃ、理想の部下ってどんな人材ですか?」

「それは従順なやつ。お前の能力を活かすために、従順なやつを集めてくれ」

この言葉を聞いた時には、「従順なやつをうまく利用しろ」って言われてるんだと思っていた。
でも僕自身がその従順なやつだったことに気付いた時、自分が利用されていたなんて到底思えない。
失敗や苦労もいっぱいあったけど、すべて楽しい思い出だと思えた頃に、僕が従順だったからこそ、最も正しく効率的な道のりに導かれて来たんだって気付いて、全身が身震いした。


     つづく