小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

Evasion 1巻 和洋折衷『妖』幻想譚

INDEX|18ページ/80ページ|

次のページ前のページ
 


 静かな静かな森の中。鳥の声すら聞こえないそんな場所に、二人は居た。
 倒れた大木をベンチ代わりに、金髪の少女と栗色の髪をした少年が隣り合って座っている。

 少女は触角を髪と一緒にハーフアップの要領で結んでいた。
 その上を大きめのリボンで隠している。

「……と、言うわけなんだ」
 菰野が苦笑とも自嘲とも取れないような笑みを滲ませつつ、言葉を切る。
「じゃあ、そのお供の人は、菰野がここに来てる事知ってるかもなんだ?」
 フリーの問いに、菰野は今度こそはっきりと苦笑を浮かべて答える。
「うーん……多分」
「けど、そのお供の人はこんなとこまでは来れないよね」
「そうだね、どこまで知っているのか……」
 と答えつつも、菰野は内心、久居なら全てを把握していてもおかしくないような気がしていた。
「フリーさんは、こんなに度々僕と会ってて大丈夫?」
 菰野の心配に、フリーは笑顔を見せる。
「うん、最近はリルも全然ついて来るとか言わなくなったし……」
 と、そこまで答えて疑問に思う。
「あれ? そういえば何で何も言わなくなったんだろう。ちょっと前までどこに行くにもしつこく付き纏ってきたのに……」
 そんなフリーの言葉に、菰野の笑顔が小さく引き攣る。
 フリーと菰野は、同じような顔でしばし見つめ合うと、声を重ねた。
「「まさか……ね……?」」