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狐鬼 第二章

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迎え撃つ家族の怒鳴り声を面白がるくろじが(其の)舌をだす

だが図らずも(?)(喧嘩の)原因を作った
張本人 (くろじ)の悪びれない態度に目を剥くすずめに気が付き慌てて弁解する

「否否(いやいや)、ボケ防止だし」

バレバレの苦しい言い訳だ
当然、すずめにもバレバレだとくろじは観念するも

「ボケ防止…」

「喧嘩」はボケ防止になるのだろうか?
等(など)、馬鹿正直に首を捻るすずめに思わず失笑して付け足す

「まあ若干、ボケちゃってるけど?」

其れは
其れは確かに然うだ

先程の「妹」云云の会話が証拠なのだろう

其れでも場都合(ばつ)が悪るい
くろじは中断したままの「青年の主張」を再開する

「俺ね」
「俺ね、ずっと「妹」が欲しかったんだよね」

「「妹」?」

「そう、「妹」」
「だからさすずめちゃん、俺の「妹」になってよ」

唐突な、然(そ)して突飛な「青年の主張」に正しい答(こたえ)が分からない
抑(そもそも)、正しい答(こたえ)があるのかさえ分からない

取り敢えず時間稼ぎの為、という訳ではないがすずめは今一度、訊き返えす

「「妹」?」

「そう、「妹」」
「で、みやちゃんは「弟」」

其れはマズイ
其れは止めて置いた方がいい、とばかり
なんとも言えない表情で自分 (くろじ)を見詰めるすずめにくろじが吐き捨てる

「でも俺、「弟 (みやちゃん)」はいらねえ」

次の瞬間、馬鹿笑う
くろじに釣られて笑いだすすずめが思い出したように訊ねる

「あの、」
「「髭爺」さんって、」

「うんそう」
「昔は髭ボーボーだった(笑)」

矢張り然う言う事か、と目を向ける
いぶし瓦屋根の酒屋の店先、老人に腕を引っ張られて姿を現わす
家族と目と目が合った

合った以上、自分 (すずめ)と会釈を交わし合う
家族らしき男性は見事なまでの、髭ボーボーだった(笑)

(「くろ(じ)!、じじい揶揄(からか)うんじゃねえよ!)

作品名:狐鬼 第二章 作家名:七星瓢虫