第四話 くらしの中で
続々・人生は短い その1
あれからのこと、、、
娘の子供の世話をする為に都会への道が拓けてから17年あまりが経とうとしている。厳密に言えば、後数か月で18年である。
新しい命の芽生えと交代するかのように、私の母は長寿を生きて亡くなった。静かな消え入るような最後だった。
その数年後、14年間暴れまくって夫は死んだ。最後の入院では一ヵ月間水しか受け付けず食べ物を拒否して、胃ろうでの数か月を生存した。私は毎日何度か病院へ胃ろうをする為に通った。可哀想で帰りの車の中では涙をぽろぽろこぼし乍ら運転して帰った。
帰宅すると広い敷地に空家になっている母の家が薄暗く建っていた。
私はわが町へ落ち着き自由気ままに暮らしている。
夫が道を作ってくれた家賃をもらえる借地借家の収入で豊かな生活ができる。
日暮れが速かった田舎の生家から、街の中心地に広い屋敷を構え、自宅の建物を囲む庭は立木や果物の木でいっぱいだ。
二十数年前に始めたパソコンでの書き物は少しずつスキルが上がって、当時のSNSで詩の仲間だった方から褒められるようになった。
当時初めてホームぺージを作ったヤフーのホームページ作成機能ジオシティーズは閉鎖された。最近はブログが手軽に作れるようになり猫も杓子もブログを書いている。私が今も詩を書いているアメーバは芸能人が占拠して、一般人の居場所は狭くなった。
最初のSNSに会員がこぞって書いていた創作広場が閉鎖され、難民のように仲間と共に移った小説投稿サイトも閉鎖された。
これまでのSNSに代わって今や、フェイスブックとツィッターというグローバルなSNSの世界が私を迎えてくれた。この二つのSNSは今までのようにバーチャルオンリーではなく、身近な知人もバーチャルで馴染んだ人も友達として繋がっている。
パソコンよりも手軽なスマホで交流できるようになってからは誰もがネットワークに関われる時代になった。私がパソコンを手掛けてからの20数年の間に世の中はすっかりIT時代に変化した。
作品名:第四話 くらしの中で 作家名:笹峰霧子