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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
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超スピード違反(おしゃべりさんのひとり言 その61)

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僕は交通ルール違反はしません!

・・・ウソです。
違反しないように、日頃からすごく気を付けてはいるんですが、例えば・・・

ほんのちょっと車を停めておきたい時でも、必ずコインパーキングを探します。
一時停止も必ずします。踏切だと後続車から文句出ませんけど、『止まれ』の標識でしっかり一時停止すると、クラクション鳴らされることもあります。それでも僕は止まります。
30キロ制限の道路では30キロを守りますが、50キロ道路だと60キロくらい出してしまうことはあります。
周りの車のスピードに合わせてるだけって、言い訳ですけど、決して無茶なスピードは出しません。
高速道路も100キロで巡行します。(オートクルーズです)

とにかく事故を起こすようなことだけは、絶対にしたくありません。
こういう認識でここ25年くらい、違反で捕まったことありませんでした。
あまり車に乗らないんじゃないかって、思われるかもしれませんが、うちの車は買ってから、3年間で7万キロ走ってますから、ドライブ好きなのが判ると思います。
僕は視力がすごくいいので、オービスとか速度監視レーダーが設置されていると、遠くからでも見えますから、そんなのに引っ掛ったりしません。
覆面パトカーも、今日は何台走ってるか、探しながらドライブするぐらいです。

ところが今、ゴールド免許じゃないんです。
ちょっと前になるんですが、ついにスピード違反で切符切られました。
その経緯と事情を聴いてください。

仕事上お世話になってる方が、四国の大学病院で手術されました。(ムチャクチャ遠い場所で)
僕はお見舞いに行くために、自家用車に部下の女性を乗せて運転していたんです。
この女性を連れて、二人だけ行くのには問題があると思いましたが、他に誰も行きたがりません。
それもそのはず、片道4時間くらいかかるからです。
そんな中、この女性だけが行きたいと言ってくれたのです。讃岐うどんが目当てですが。
別部署から総務課長の女性も行くことになりましたが、家族を連れて一泊の小旅行を兼ねて、ということにされたので、ご自分の車を運転されます。

ところがその当日、台風が来てしまいました。
日程的にはその日しか、日が合いません。なので強行しました。
兵庫県明石まで高速道路で移動して、明石海峡大橋から淡路島を通って、大鳴門橋を渡る予定でした。
しかし、強風のため大鳴門橋が閉鎖されたことが途中で判りました。絶望的です。
仕方なく、ルート検索を同乗女性がしてくれました。すると岡山から瀬戸大橋経由なら問題なさそうでした。
かなり遠回りですが、その女性は途中まで来たのだから、回り道することを提案しました。
運転するのは僕です。正直、引き返したかったです。
後続の総務課長も家族旅行中ですから、家に帰るなんて選択肢はありません。この案に同意されました。
(結果、僕はこの日、18時間で950キロ運転する羽目になりましたが)

岡山までずっと曇り空。たまに雨が強風で吹き付けるようになってきました。
また速度規制がかかりました。50キロ制限です。
僕はそれを守り、ごく安全なスピードで走りました。
しかし、瀬戸大橋を前にして、その天候は急に回復しました。
制限速度も解除されました。これで運転がしやすくなります。
そして瀬戸大橋に差し掛かりました。しかも日が差し始め、とても景色がきれいに見えました。
僕たち二人の沈んだ気分も急に上がり、女性はスマホで景色の写真を撮りまくっています。
それを横目に見ながら運転していたのですが、ふとバックミラーを見ると、パトカーが赤ランプを回しながら付いて来ています。
僕は速度メーターを見ました。100キロほど出ていました。
しかし周囲には、その速度で走る車が何台もあります。
(大丈夫だろう)と思いましたが、『プワァ~~~ン』とサイレンの音がしました。
「え? なんで?」
僕はパトカーに先導され、橋を渡り切った先の非常停止帯に止められました。
この時はまだ(これくらい許してくれるんじゃないか)って思っていました。
ずっとそんな経験があったからです。
近付いて来たパトロール隊員は、赤旗を振りながら安全確保して、僕を車から降ろしました。
でもその時、チラチラと同乗の女性を見ています。
それもそのはず、22歳の彼女はむっちゃ可愛いんです。
しかも僕の車は、メルセデスのEクラスワゴン。
色はベージュのメタリック。晴れた日だと金色に見えます。

それは成金のおっさんが、いちびって若い愛人を乗せてるようにしか見えません。

パトカーの中で質問されながら、「すみません」を連発しました。
お見舞いに行く途中だとか、強風で回り道してたとか、急に晴れてテンション上がってしまったとか。
でもこの状況で、パト隊員の同情を買うようなことは出来ませんでした。

僕は、しっかり反則切符を切られました。(これ、当り前ですけど)
速度違反は、19キローバーでした。つまり99キロ出して走ってたようです。
許してくれないんですね。(これ、当り前ですけど)
高速道路は、みんな100キロくらいで走ってるもんだと思ってましたが、80キロ制限なら違反なんだ。(これ、当り前ですけど)
超スピード違反して、50キロオーバーで許してくれたり、白バイ追い抜いても許してくれたのに、隣に可愛い子ちゃんがいると、許してもらえないんだ。(これ、当り前で・・・)

僕の車の横を、総務課長は笑いながら通過して行きました。


     つづく