アベレージ(おしゃべりさんのひとり言 その60)
アベレージ
ごくアベレージ(平均的)な日本人て、どんな人のことを言うんだろう。
スーパーマンや鈍くさい人なら小説にしやすいけど、超普通の人間を小説にしても面白く書けるかな?
主人公名:阿部礼司(あべれいじ)
こんな名前で書いてみようと思い付いたのに、面白い話が思い付かない。
だから、ひとり言で書いてみる。
平均的と言っても、何に対して平均を取る?
身長を例にすると、背が一番高い日本人は、237cmと言う記録がある。
逆に背が低いのは、小人症のような染色体異常でなければ、110cmらしい。
その中間値は173.5cm。これが平均的な日本人と言えるのかどうか。男女や年齢層でも平均は違ってくるはずだけど。
では体重ではどうか。日本一重い人と軽い人の体重を足して2で割れば、きっと百何十キロにもなってしまう。
これでは二つの平均を出しても、どう考えても平均的日本人とは言い難い。
じゃ、前述の173.5cmの人なら標準体重はどんなものか。
標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22 この式で計算されるみたい。
てことは、1.735×1.735×22=約66kg
正に中肉中背の男って感じ。
これくらいの人って、いっぱいいるよな。
パッと見で、特に特徴がなさそうなのが平均的と言える。
こんな感じでキャラクター設定してみようかな。
平均寿命なんてのは、男女まとめて85歳くらいだけど、死んでたら小説にならないので考えないでおこう。
知能指数とは平均値はIQ-100が基準なので、これもあまり考えないでも良さそう。
仕事はどう考えてもサラリーマンが普通だよね。
派遣労働者や失業者がクローズアップされる昨今、それでも大多数の人は会社員だろうと思うし。
大手企業じゃなく、中小企業・・・いや真ん中取って、中堅企業ってことで。
日本人の平均年収は450万円くらいだって。そんなものなのかなぁ。
日本人の持ち家率は6割程度らしい。そのうち一戸建てとマンションは、それぞれ55%と45%を占めていて、日本では戸建ての方がマンションよりも好まれていることが分かる。
注文住宅の住宅面積の全国平均は約38坪で、建売住宅の平均面積は約30坪らしいから、戸建住宅においては、34坪程度の広さの家が平均的なのか。敷地全体を考えれば、田舎ってのは、そんなもんじゃすまないだろうけど。
じゃ都市部でもなく、郊外の住宅地辺りが無難な線だよな。
設定は家を買ったばかりの、30代ってことでいいんじゃない?
でも家族構成を考えると、平均世帯人数はたった2.5人だと言う。夫婦だと子供一人もいない計算。これじゃ人口は減る一方だね。
独身者が多いってことなのかな。でもその設定じゃ、孤独な感じがして普通って呼べる? でもそういう人が多い世の中なのか。
共働きしながら、子供を作るタイミングを見計らっている夫婦ってことにしよう。
自家用乗用車の世帯当たり普及台数は1.043台。一家に1台。まあ想像通り。年間販売台数が一番多い車種の軽自動車が無難かな。
公共交通機関は都市部に密集していて、全国的には電車で通勤できる人口って、意外に少ないって聞いたことがある。でも住宅密集地なら何なりとあるだろうから、バス通勤が普通かな。
世帯当たり平均貯蓄額は、1,791万円。(ええ! みんなお金持ってるなぁ)って思ったら、60代以上の世帯で急に増えてる。ローンが終わって、子育てから離れて、親の保険金が入って、年金も使うことないから増えるんだろうか? だと老後は意外と安心かな。
若い夫婦の設定にしたいから、経済的な制約を考えると、昔のトレンディドラマみたいなオシャレな家に住めない。かと思っていたら、最近の家って、建材が安くなって汎用規格品を使うから、意外に安く建てられるんだね。
外壁なんか乾式タイル工法が主流だったけど、若い人は割安のガルバリウム鋼板を採用する傾向にある。紺かエンジか深緑色した家が、よく目に付くようになった。昔だったらトタンの家って貧乏の象徴だったのに、ちょっとデザインを変えると人気が出るんだ。それにメッキ塗装の進化で耐用年数も倍になってる。
瓦は最近使われない。スレートぶきの軽くて安い屋根が主流。
新築家屋の平均的価格帯は3,500万円前後。より安く仕上げたいなら、ガルバリウム&スレートが多いみたい。でもその分、内装に拘るのが最近のトレンドなんだそうだ。この家で十分だね。
これらは全部、数字上の平均だ。数字に表れない平均的なものって何がある?
顔の形はどんなかな? ハンサムや美人? 特徴がありすぎてもダメだし、モテるかどうかって言うと、それほどでもなくってくらいで。
女性なら化粧なんかも薄めか、しないくらい。髪の長さは? 色は? 長すぎず短かすぎず、カラーリングもしないノンパーマ。
服のセンスは? 派手にならず清潔感は維持するも、高級ブランドじゃない安い服で。
なんて考えると、中学か高校の校則作ってるみたいだな。
趣味は読書。これ平均的かな? 映画鑑賞や音楽鑑賞って古ーい昔の人の感覚の趣味って気がする。今じゃ、インターネットの何かでいいか。
食の好みは、やっぱり米か。米だったら毎日でも食えるってところが日本人ぽいな。
肉か魚かって言えば、魚の方が日本人ぽいけど、実際には肉好きが多いだろうな。
・・・段々どうでもよくなって来た。
確かにこのキャラクターみたいな人っているよね。自分に当てはまるって人がどれくらいいるのか、数えなくてもいっぱいいるだろうな。
よく考えたら、僕の周りにもいっぱいいそう。
すごい人やとんでもない人を調べるとワクワクして、想像が膨らんでいくけど、ごく普通の人の中から、これまた普通の条件を探すのって、何も面白くないね。
平均的な日本人のキャラクターを人格付けようとしたけど、これって平凡すぎてやっぱり小説に出来ないな。
僕は平凡な暮らしが出来たら幸せって思って来たけど、それに憧れる人にも好感が持てるけど、実際はどんな生活のことを言うんだ?
平凡=小説のエピソードに欠く生活? つまりは、つまらない生活?
唯一、新築家屋のことを調べてる時、ちょっとワクワクした。
高額なものを手に入れて、その後の自分らしい拘りの生活を想像したら楽しいじゃない。
そんな家を買える人が、日本じゃ普通の人ってことなんだから、これはすごいよね。
つづく
作品名:アベレージ(おしゃべりさんのひとり言 その60) 作家名:亨利(ヘンリー)