円談
承
「霊山……ですか?」
『そうです。そちらに毎期生徒会4名で冬季祈願に行くのがしきたりとなっておりますので週末にお願いいたします。』
「学院所有の霊山に冬季参拝…。着任儀礼みたいなものですわね。わかりました。承りますわ。」
教師が無感情にプリントを渡し言う。
心の中では少しガッカリした。
デジタルの粋を尽くしたこの電子世界。更にはそのフラッグシップ校とも呼べるのセントラルフェアリー学院の教師が、まさか「神頼み」をしてくるように言うのである。多少の不信感はあって然るべきだ。
しかしわたくしは校の規範である。従うべき者には従わなくてはならない。
ただハイキングして来いと言われているだけである。素直に行くとする。
『一つだけ。遵守しないと行けない【不文律】があります。』
「…なんでしょうか。」
『山道は一方通行です。時計回りに遠回りをするような道になっていますが道を外れたり、道を戻ってはいけません。
時計回りを必ず守らないといけません。
決してこの【不文律】を破ってはなりません。』
「霊山の戒めのようなものですか…心しておくことに致します。」