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春の風景いまむかし

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僕も詩人やロマンティストではないので、
草花の名前に決して明るくありません。
いえ、「雑草なんていう植物は無い」という言葉を覚えているぐらいには
詩人的ではあるのですが、
それはさておき、ジョギングやウォーキングでうろうろとしているおかげで、
そういう習慣が無い人よりは、
親しみを持って接しているとは思っております。

それでさて、昨今ですが、本当にレンゲが減りました。
クソガキの頃にはレンゲ畑は勝手にできるのだと信じていた節がありますが、
実は人為的なものだった、
しかし役割を取って代わられたために不要になった……とのこと。
レンゲ畑は僕において僕の少年時代の春、幼い僕の希望や可能性に
漠然と結び付いて思い出され、
さみしさもひとしおです。

一方、増えたのは次の三つです。
いずれも検索して名前を知った、
ナガミヒナゲシ、コバンソウ、ヒメコバンソウ。
ナガミヒナゲシは、ケシ粒の弾倉のようになるのが面白く。
コバンソウは、遅すぎるまたは早すぎるハロウィンのよう。
ヒメコバンソウは、くす玉を割って時間を止めたよう
(映画『マトリックス』を思い出します)。
あるいは小さな宇宙のようです。
レンゲ畑とは違いますが、こちらもこちらで興のある風景です。
いずれも、今の子供たちが将来、
希望に満ちた春の通学路の友として思い出すことでしょう。

(了)
作品名:春の風景いまむかし 作家名:Dewdrop