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かきのこし

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塾にいる時はおにぎりが食べたかった。
けど最近新しく出来た駅前のセブンに寄ったらカレーパンがたくさん置いてあって中身が詰まってそうでとろんとしてて美味しそうだと思った。必殺手のひら返し。
私は何も持たずにレジに並んで「こばやし」にカレーパンをお願いした。
そのカレーパンは歩きながら食べた。別に普通だった。線路の横を通りながら、月が綺麗だな、上弦の月かな、ゆきに聞けばわかるかな、なんて説明しよう、最寄りから朝の待ち合わせの駅に向かってのこの向きでとかいえば伝わるかな、てかあそこのマンションの赤い光強いなとか、これ文章にしようとか初めは考えてた。
けど途中で「こばやし」を思い出した。新しい店舗だから名簿が間に合ってないのかなとか、でもほかの人はちゃんとしてたよなとか、新人アルバイトかとか、カレーパンって2秒しかあっためないのかとか考えたとこで「こばやし」の話からそれたことに気づいて考えるのをやめた。
「こばやし」
なんかいいな。と思った。
作品名:かきのこし 作家名:り。