第三話 くらしの中で
国際的になった田舎の母 その一
母とは私のことである。
私は四国の愛媛県に住まいを持つ老親であるが、最近やたら国際的になった。
その一つの理由は娘がミャンマーで税理事務所を経営しているので、フェイスブックでそのリアルなニュースを知るのであるが、今夜はフェイスブックのメッセージから、本日開催される日本人会のyou tubeバージョンのURLを書いて来たので、日本開始時刻にクリックして視聴することになったのだ。
今回は音楽を演奏する内容だったので、別の事をしながら気楽に聴いたり見たりした。主催者側の一人であるわが娘の顔も映像を通してまじまじと見て、笑いを共有することができた。
最近は自宅にいると、近所の人とだけ顔を合わせて話すぐらいで、少し離れている友人や知り合いとは何か月も会うことがない生活をしている。
そうした中で、何か相談事があってミャンマーや次女が住む神戸にメッセージを送るとすぐに返事が来て、チャットで細々した話ができる。
フェイスブックに登録していなかった数年前は、娘は東京に居たが、何をしているのやら日常のことは全くわからず、年に一度か二度こちらに帰ったときに顔を見るぐらいだった。実際に会うとろくに話もせず一日でとんぼ帰りをすることが多かった。国内にいるという安心感がお互いにあって、それで当たり前という気がしていた。
今は動乱のミャンマーでの暮らしなので、娘は日本や故郷が懐かしいだろうと思う。
都会に住む子供を持つ者は、もう二年も会っていないという人もいる。
私も神戸の子供と孫にもそれぐらい会っていないと思う。
作品名:第三話 くらしの中で 作家名:笹峰霧子