第三話 くらしの中で
その四
俳句も伸び悩み、句会での選句には少ししか選ばれない。俳句を指導してもらって八年ぐらいになるが、センスが無いのか今の句会に会わないのか、この会で日の目を見ることはないだろうとさえ思うようになった。
半ば諦めて、最近短歌のブログを作った。これは形式も無視して口語の短歌を自由気ままに詠んでアップしているが、俳句ブログより余程アクセスが多いのだ。
気楽に作った物は読む方もわかりやすくて良いのだろうとは思う。
早朝の五時台に家を出て近くの公園でベンチに座る習慣が付きそうな感じだ。健康にも良いことだしぜひ続けたいとは思っているが、くじけないよう自分を励まさねばならない。
ベンチからは前方に連なった山が二重にも三重にも重なり、その日の時間帯や天候の具合で雲の流れ方も異なる。東方の山の端から少しずつ白み始めて、公園まで光が届くようになるまでに短歌を一首作って帰る。所要時間三十分の朝の散歩もどきだ。
朝日のスピードはかなり速くて、帰り道では茜空が広がることもある。どの家もまだ戸を閉ざしているのを見ると妙な優越感を感じるのも悪くない。
作品名:第三話 くらしの中で 作家名:笹峰霧子