小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

僕でも高所恐怖症(おしゃべりさんのひとり言 その46)

INDEX|1ページ/2ページ|

次のページ
 

僕でも高所恐怖症



3年ほど前に、初めて富士山に登った時、妻から衝撃の告白が!

「こわい。・・・怖い・・・。」

一生に一回くらいは行ってみたいところだと思ってたけど、歳を取るともう登れないと思って、妻と登頂に挑戦したんだ。
装備とかは、専門店にいた知り合いの店員さんにアドバイスをもらって、かなり本格的に準備し始めた。
はじめは近所の1,000メートル級の山に登って、半年かけて徐々にトレーニングを積んで・・・。

イザ! 富士山へ、そこで意外な事実が判明した。
何でもない岩をよじ登る際に、普段アクティブな妻がすっごく遅いんだ。
(どんくさいなぁ)って思ってたら意外な一言。
「・・・こわい」
「・・・? 何が?」
「下・・・」
眼下には下界が広がっている。とってもいい景色。
「怖い? どこが?」
「高い・・・」
樹木がない富士山は、振り向けば下まで見通せるから、たった一つの岩を乗り越えるだけでも、高さは3000メートルの崖に感じていたそうだ。
そんなのが連続した登山道は、ずっと3000メートルの綱渡りをしてるみたいなんだって。

僕には全く解らなかった恐怖感。
高所恐怖症の人って、そんなふうに景色を見てるんだって知った。

「あれ? じゃあ、ジェットコースターは怖くないの?」
「怖い」
「今まで何回も乗ってたじゃないか」
「我慢してた」
「若い頃デートとか、最近でも子供と一緒にとか」
「ディズニー・シーのタワーオブテラ-なんか最恐だったわ」
「でも何回も乗ったよね」
「全部我慢してた」

僕は全部楽しんでるんだとばかり思ってたのに、どうやらそうではなかったらしい。
そんな素振りは全く見せない妻の根性には、感服いたします。
✧*。ヾ(。>﹏<。)ノ゙✧*。


思い起こせば・・・
僕は高いところに登るのが好きだ。(バカと煙は・・・)
高層ビルとか、なんとかタワーとか、そんなところのガラス張りの床に立っても、全然平気な人。「はーい」

幼稚園の時、近くの動物園に遠足で行った。
どんな動物を見たかよく覚えていないけど、ジェットコースターに乗ったのは覚えてる。
幼児が乗れる小さなやつだったと思うけど。
怖かった記憶がない。

小学校のころ、家族で行った遊園地でジェットコースターに乗った。
まだ小さかった弟は乗れなかったので、父さんと一緒に。
「ひや~~~~!!」と叫んでたのは父さんの方、僕はその様子を覚えてる。

初めて宙返りコースターに乗ったのは、12歳のころ。
ものすごい期待で、ワクワクしてたのを思い出します。
でも、いざ乗ってみると、周囲の景色を楽しむ余裕が全然ありませんでした。
怖かったのではなくて、上下反転中にかかる遠心力のすごさに、首を上げることが出来なかったので、自分の靴を見ていた記憶だけあります。
母さんが、僕がずっと顔を伏せてたって笑ってたのが腹立つほど、「怖くなんかない」って思ってた。

僕はこの年になっても、ジェットコースター大好きです。
いつも両手を上げて、どこにも掴まりません。
急降下の時なんて、「ひょーーー!!!」て叫びます。

台湾長期出張の時、仲良くなったホテルのフロントの女性たちと「六福村」って言う、絶叫マシンがいっぱいある遊園地に、グループで遊びに行ったことがあった。
そこでみんなで一番人気の絶叫マシーンに乗ろうって並んでたら、そろそろ僕たちの番って時になって、一人が泣き出した。
皆で励ましたけど、その娘は尋常じゃない表情になって、手に負えなくなったので、乗るのよそうかって話になったら、女性達は乗らないから「男だけで乗って来て」って言われてしまって・・・(悲)。
垂直に上って垂直に落ちるのを繰り返しながら、眼下には取り乱したその娘をなだめている様子が見えた。
こっちなんか誰も見ていないのを、僕は上空から冷静に眺めていた。