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消えていくゾウの群れを見送りました。

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は続きます。ようやく異変に気づいた森林局のスタッフ達が集まってきます。近隣の村も巻き込んでの大作業になりました。ショベルカーや足場を固めるための土嚢を手配し、協力してくれる人たちも確保しました。いよいよ重機が届けられ、周りの壁を切り崩し、泥を掻き出していきます。そこへ一頭のゾウが近づいてきました。どうやら母親のようです。救助隊、母親ゾウ、赤ちゃんゾウの誰もがこの状況が一刻を争う状態であることを共通認識していました。そして彼らの信頼がこの後奇跡を起こします。井戸を切り崩し始めてから、すでに5時間が経過していました。赤ちゃんゾウの体力ももはや限界です。しかし、母親ゾウの励ましにより、また元気を取り戻していました。また足を動かし始めたのです。救助隊が肩に担ぎ、井戸から引っ張り上げました。周りで見守っていた人からは安堵の声と、拍手が鳴り響きます。その時川の方から音が聞こえてきました。川で待っていたゾウの群れが水しぶきを上げてこちらに駆けてきたのです。なんと救出作業には2日間もかかっていました。その間救助隊は赤ちゃんゾウに寄り添い続けていましたが、家族であるゾウの群れもその場を離れず見守り続けていたのです。ようやく救出されたことがわかり、ゾウ達が駆け寄ってきたのでしょう。それに気づいた赤ちゃんゾウも大きな鳴き声を上げながら家族に駆け寄って行きました。ようやく合流できた仲間達との嬉しそうな姿を見て、救助隊からも歓喜の声が上がります。
仲間と合流し嬉しそうなゾウ達。赤ちゃんゾウも仲間に温かく迎え入れられて嬉しそうです。それを幸せそうに見守る救助隊からも拍手や口笛とともに温かな声援が飛びます。しかし、赤ちゃんゾウを取りかこむ他のゾウとは違った一頭の大きなゾウがこちらを向いています。しかも何かしきりに気にしているようです。なんだろう?と思った瞬間、そのゾウが高く鼻を持ち上げました。さらに何度もお辞儀をするように、鼻を上下に動かしています。これを見た人達は一段と高い歓喜の声を上げ、川の奥へと消えていくゾウの群れを見送りました。