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海のような場所

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まず初めに、この話は私が本当に見た夢の話であり、意味がわかると怖い話ではありません。ご了承ください。それと、もし心理学や占術などで、この夢がどんな意味を持ってるのか考察することの出来る方がいらっしゃるなら、この夢について教えてください。お願いします。


この夢を始めてみた日、私は雲ひとつない青空の下、海の近い崖の上で海を見下ろしていました。高所が苦手な私がそんなことをしていたのは、足元を見ないようにするためでした。
なぜなら、足元には名前の分からないツタ科の植物が芋虫が這うように生え、その植物の隙間から顔を出した、白い蛆虫のような生き物が、ぐにゅりぐにゅりと足裏で蠢いているので、立ちくらみしそうな高い場所であっても、こんな不気味なものを素足で踏み潰しているという現実を見るよりは、遠くに見える美しいエメラルドグリーン一色の海を見ている方が良いと思っておりました。
不思議なことにその海は全く波はたっておらず、常に凪ぎ、その場所に音は存在しておりませんでした。それだけではなく、海特有の磯臭い匂いもありませんでした。しかし、それ以外にもその海には何か違和感がありました。けれど、一日目は違和感の正体に気づくこと無く、目覚ましの音で起床したのでした。

次の日もまた、同じ夢場所の夢を見ました。天気は昨日と同じく晴天、この日の私は砂浜におり、見上げると昨日居た崖が見えました。その時の私は、今いる場所があの崖で無くなったと言うだけで嬉しくなり、砂浜をぐるぐると走り回っておりました。暫くして、走り疲れた私は、喉の乾きを覚えました。目の前には、磯の香りもせず、ゴミひとつ落ちていない美しい海。私は我慢できずに海の水を飲みました。この水はきちんと飲んだ感覚があり、味はほとんどミネラルウォーターと変わらなかったと思います。気の済むまで水を飲み、次は海に体を浸しました。温度という概念はこの世界にはありませんでしたが、この水に生息する生き物を見たくて、奥の方までゆっくり歩いて、海の水に顔をつけました。その時、漸く昨日の違和感の正体に思い当たりました。この海のような場所には生き物が全く居ないのです。人間は元より、海に生息しているはずの海藻や、魚。砂浜には貝殻1つ落ちて居ませんでした。よく考えて見れば、船着所もなく、船が1隻も通らないのは不自然でした。その事実に恐怖を覚え、海から出ようとした瞬間、足をもつれさせて転び、頭まで浸かった所で目を覚ましました。
それ以来この海のような場所の夢は見ていません。しかし、見ている間は夢だと認識することが出来ないくらい鮮明な夢でした。たまに思い出しては、もしかしたら無人島だったのかもしれないと考えることもあります。この後、様々な海や湖の写真を漁りましたが、この場所と同じ所はありませんでした。もし、天国のような地獄があるとしたらきっとこの場所のことなのでしょう。
ご清聴ありがとうございました。
作品名:海のような場所 作家名:七桜