狐鬼 第一章
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黒目勝ちの、やや切れ長の目
肌の色素が少ない為、映える薄紅色の唇は口数は少ないが
大人しい印象とは裏腹に、ふとした瞬間に見せる
やんちゃそうな笑顔
幾分、細身のしなやかな肢体が颯爽と歩く度
少し癖のある黒緑色の髪が優雅に跳ねる
容姿端麗
勉強も運動も上位の彼は
誰もが遠く誰もが憧れる存在
知らず知らずの内に彼の姿を探し求め追い掛ける
喧騒の校内
同級生達と他愛無い会話をする、休み時間の廊下
窓辺に佇む彼は丸で一枚の絵画のようだった
寄り掛かる窓枠を額縁に
窓硝子に架かる中庭の木木を背景に
其処だけ、彼だけ、全てが止まっている感覚
そんな時間の中で彼は一体、何を思っていたのだろうか