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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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おーまいごっど【完結版】

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 神様は門に向かって歩き出した。セニョールとセコビッチもその後に付いて歩いたが、神様はすぐに立ち止まった。そして門の下の階段を見下ろしながら、
「忘れてました。ここの階段、すっごーく長いんでした」
「ですよね。神様でもそう思いますよね」
「歩いて下りるの嫌だな。おんぶしてくれませんか?」
「え? 神様をですか?」
「はい。お願いを聞いてあげるから、僕のお願いも聞いてください」
「変な神だな。結構重そうな体格してるよな。セニョ、お願いのためだからおんぶしてやりな」
「いやいやいや、お願い事はあなたのお願いですよ、セコビッチさん」
神様はセコビッチに向かってそう言った。
「なんで俺? 俺? 俺の願い事・・・当たったのは俺の願い事!? そりゃねえだろ、セニョールの願い事を俺が言っただけだし」
「それがあなたの願い事でしょう? もうキャンセル出来ません」
「な、なんだよそれ、俺に何のメリットもねえじゃねえか」
「そんなことはありません。神に奉仕することは、現世ポイントのアップにつながります」
「そんなポイント、ホントにあるんだろうな」
セコビッチは、神を睨みながら言った。
「まあまあまあ、セコビー、僕も一緒に支えるから、おんぶしてあげようよ」
「そんな必要はありません」
そう言うと神様は、ひょいとセコビッチの背中に跳び乗った。

「あれ?」
セコビッチは背中に神様を背負った状態で、できる限り首を後ろに振り返った。
「ホントに乗ってる? 何も重さ感じない」
「ほほほほ、そりゃそうです。神は偉大でも重さなんかはありません」
「なんだ、それなら余裕じゃねえか」
セコビッチは神様をおんぶしたまま、ぴょんぴょん飛び跳ねた。
「では、気を取り直して、イザ参りましょう」

 神様を背負ったセコビッチとセニョールは、痛快に階段を駆け下りた。一番下の鳥居まで来ると、セコビッチは神様を背に乗せたまま、自転車を道路に出して跨った。
「おお、自転車とはありがたい。神輿の代わりですな」
「ワッショイワッショイとは言わないからな」
セニョールもその荷台に乗り、3人乗りになったが、運転は二人乗りの時と変わらない。