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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
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カタカナニガテ(オシャベリサンノヒトリゴト ソノ40)

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カタカナニガテ



チャーゴグガゴグマンチャウグガゴグチャウバナガンガマウグ湖

これ、一発で読めますか?
アメリカのマサチューセッツ州にある湖なんですって。

もちろん、本をよく読む皆さんは、注意して読めば正確に読み上げられると思います。
僕も文章を書くのが好きなので、「これくらい余裕ですよ」って言いたいんですが・・・・読めません。まったく。

僕は識字障害があって、カタカナが苦手です。
なぜかカタカナだけです。
皆さんの周りにも、子供の頃、文字を読むのが苦手で、国語の本の音読が下手な生徒っていたでしょ。
僕はこれは全然大丈夫だったんで、識字に問題があるなんて思いもしませんでした。

ネットでその症状を調べると、『ディスレクシア』と言う学習障害として解説されていますが、その内容を読むと、僕はどうやらそれとは違うようです。
ネット上では、僕みたいにカタカナだけ苦手な同じ症状の人を、一人だけ見付けたことがあります。
その他の人は、ひらがなや漢字でも同じ症状のようでした。

漢字、ひらがな、アルファベットには何の問題もなく読めるのに、カタカナだけが無理、これはどういうことなのか。
このことに気付いたのは、もう30歳くらいになってからなので、日常生活にはほとんど影響はありません。
でも、よくよく考えてみると、この障害での困難を小さい時から経験していたように思います。

中学の頃、英単語を覚えるのが苦手で、アルファベットの並び順をとにかく書いて覚えました。
書かないと覚えられなかったからです。
でも一度覚えてしまうと、後は文字列を見ただけで、何の単語か直感的に判ります。
僕が英語をすらすら読むことが出来るのは、このプロセスが得意だからです。

なので、ペンを持っていない時でも、人差し指でスペルを空中に書いて覚えていました。
だから覚えにくいカタカナの文字列も、無意識に指で書いて覚える癖が付いていました。
この行動のおかげで、日常生活でカタカナが苦手だって、ほとんど気付かなかったようです。

テレビを見ていると、よくバラエティー番組なんかには字幕が出るでしょ。
その字幕で、外国の地名とか、珍しい人名が出てきた時に、僕だけ読むスピードが異常に遅いって、大人になってから気付いたんです。

あれっ? て思って注意深く読んでも、全然カタカナが頭に入ってきません。
左の文字から順番に読んでいるつもりでも、一文字飛ばして発音したり、真ん中だけ右から読んでしまったり、支離滅裂な感じになります。
一度読みきってしまえば、次からは英単語と同じように直感的に読めるのに、初めての言葉はカタカナでは無理なんです。

間違い読みして、妻にはいつも笑われます。最近は娘も笑います。
他の人からすれば、「こいつIQが低いのか?」って思われそうですけど、僕は知能検査で結構優秀な結果を過去に何度も出していますので、「そこまで悲観的にはなっていませんけど」などと強がっています。

どうしてカタカナだけ?
その答えについて、僕なりの結論を紹介したいと思います。

漢字には文字一つひとつが持つ意味があります。
だからその文字を見ただけで、発音と意味を同時に理解しています。
『小学校』は「しょうがっこう」と発音して、『小さい子が学ぶ校舎があるところ』と理解するのです。

ひらがなは、漢字の補助的に使われる文字です。
ひらがなだけで文章を書いたら読みにくくなりますが、漢字を挟むことで楽に読めるでしょ。
これは漢字を見て発音と意味を理解してしまっているから、ひらがななんか一文字ずつ見なくても、文章として正しい予想が付くからです。
逆に、送り仮名が間違って書かかれていても、気付かないで読み流すってことがありますよね。

僕はこの方法で文章を認識してるんで、速読も得意な方です。
朝一番にベッドで、寝る前に読んでた本の続きを読み出すと、ものすごいスピードで読むことが出来るんです。
見た目のイメージだけで意味(漢字、熟語、文節)を理解して、そのページの内容を認識する。
寝起き直後は、脳がすっきり回復しているから、そんな処理能力が高くなるんだと思います。
もしその本がひらがなだけで書かれてるとしたら、絶対に速読なんてありえません。
そういえば幼稚園で、「絵本を読み終えたら、遊びに行ってもいい」と言われて、僕だけ、1ページしか読めなかった記憶があります。
やっぱり、ひらがなだけの文字列は、理解出来なかったのだと思います。

アルファベットは前述の通り、一旦単語として理解してしまえば、その文字列に意味が生じます。
英単語は一度覚えれば、漢字と同じように、発音と意味が付いてくるのです。
『school』という文字列全体のイメージで「スクール」『学校』だと知ってしまっているのです。

しかし、カタカナはわけが違います。
使い方としては、主に外来語の表記や、擬音などの言葉になりにくい音です。
つまりその言葉を知っていないと、一文字ずつ読み上げるしかないですよね。
文脈をヒントにしても、発音は想像できないし、文字列が長くなればなるほど、どこで区切れば読みやすいかも、いちいち考えながら読まないといけません。

『エレメンタリースクール』という文字列を初めて見た時に、その言葉を『小学校』のことだと知らないうちは、どこで区切ればいいのかさえ判りません。
『エンタメ・スリー・クール』だったり『エレン・メンタル・スクール』とかに見えちゃう。 
僕の場合、左から読むって分かっていても、目から入ってきた文字列を、脳みそが勝手に右から認識してしまったりして、途中で正しく区切ることもできないで、似た他の言葉と混同してしまったりします。
だからカタカナだけは特別だったんです。
でも、一度しっかり読み切って、正しく認識さえすれば、それ以後は何の問題ありません。

冒頭の湖なんか、暗記するのも嫌ですから、一文字ずつたどたどしく発音しながらゆっくりでないと、絶対に読むことが出来ないんです。
タイの首都バンコクの正式名称なんて、宇宙人の言葉のように思えてしまうほどです。(調べてみてね)

言語学を学んだ経験から、文字が苦手って言うのはすごく恥ずかしいことです。
でも逆に、それを学んだ知識があったからこそ、障害のメカニズムの解明(仮説)に結びついているんだと思うと、もっとネット上に情報発信して、同じ症状に悩む人を安心させてあげたいと思いました。

だって『カタカナニガテ(カタカナ苦手)』って書いたら、「カタカナに勝て」って読めちゃったから。


     つづく