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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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「キコちゃんはちょっと小さい」〜告白編〜

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先生はまたため息を吐いて顔の半分を覆い、もう片方の手でバウムクーヘンを口に運ぶ。器用だな。あっという間に、年輪の切れっ端は先生の口に全部入った。

先生がもぐもぐとやっていた間、しばらく場は静まっていたけど、不意に先生は何かを懐かしむように、ふふっと笑う。それから、満足そうに舌なめずりをした。

「つまるところ、気まずくなるのは嫌だし、彼女とは一緒にいたい。彼女に気持ちを自覚させたあとで、二人の関係が悪い方に転んだりしたら…お前はそれが怖いんだな?」

俺はその時先生が言ったことに、「あっ!」と声を上げそうになった。そして、なんとかそれをすんでのところで止めると、息を吸った音だけが残った。それから、あっという間にかっかと火照ってくる顔を隠すため、俺はうつむく。


そんな。そんなはずないのに。まさか。


「児ノ原」

俺は東先生の声に、顔を上げないまま「なんですか」と返した。なるべくぶっきらぼうに聴こえるように。

「バウムクーヘン、いっぱいあるから、持って帰っていいぞ」