成人の日にあやかって
あの子もこの子も、やっと合法的に酒の飲める年齢ですか。
あやかって、ボクも一杯やらせてもらおうか。
グイグイやらせてもらおうか!
……ったく、ボクの仕事も大変なんだ。
ボクに対するムチャぶりと言ったら!
え~っ、ボランティアなのにこんな要求水準高いの? ボク何だと思われてるの? 超人?
みたいな案件ばっかりだよ。
やっぱり、これは飲むしかないねえ。
……ふぅー、それにさ、繁忙期と閑散期の差があり過ぎるのよ。
で、その繁忙期のブラックなこと! 漆黒だよ!
募集した非正規のメンバーのおかげで何とか回してるけど、それもありがたいやら申し訳無いやらだよ。
……はぁーっ、めでたい日に愚痴ってすまないね。
やりがいはものすごく感じてるんだよ。
ホントやっててよかった。
でも、働き方改革ってボクにも要るよなー。
テレワーク? やら電子マネー? やらの時代なんでしょ?
ボクも、体が年々キツくなるばっかりでさ。
……ホント、ボク何だと思われてるんだ!
老人は酔いつぶれた。
半月前、たった一夜で世界中をかけ巡った老人が酔いつぶれた。
(了)
作品名:成人の日にあやかって 作家名:Dewdrop