一眼国
興行師は珍奇な見世物を欲しがっており、何か面白いものに出くわさなかったか行脚僧に聞く。
と行脚僧は、かくかくしかじかの地で一つ目の少女を見た、と答える。
興行師は大喜びしてその地に向かい、到着すると、先の答えどおりに一つ目の少女に出くわす。
興行師がその少女を連れ去ろうとすると彼女は悲鳴を上げ、聞きつけて全員一つ目である役人や町人がやってきて興行師を捕まえる。
引きずられていった奉行所にて、奉行曰く
「少女さらいよ、顔を上げよ」
興行師が従うと、奉行もやはり一つ目。
一方奉行のほうも驚いて、
「な、何と目が二つ! というかそもそも一つの胴に頭が十個で目が計二十個、脚が三十本、それと全裸っておまえ何? おいこいつを見世物にせよ」
(了)