親バカ(おしゃべりさんのひとり言 その30)
親バカ
今、中3のひとり娘。
本当に良くできた子なんだ。
ちょっと普通じゃない父娘の話。
3300gで生まれた娘。
妻のお腹がパンパンになって、予定日より早いけど「もうそろそろ生まれて」とお腹にお願いした日の晩、陣痛襲来。
聞き分けのいい子だ。
生まれて初対面した時、顔が横綱力士みたいだったのに、可愛くなるもんだと思う。
当時の写真を見ると、30センチ角ぐらいのガーゼのハンカチが、布団代わりになるくらいの大きさだったのか。
生後3ヶ月の時、初めて言葉を話した。
赤ちゃんでも教えれば、早い段階から言葉を発するようになると、テレビで言ってたので、僕は最初からそれに挑戦していた。
皆さんも、ゼロ歳の赤ちゃんがいたら、是非やってみて。
英語を学んでいた経験上「HELLO(ハロー)」という単語は、あまり口を動かさずとも発音しやすい。
毎日毎日抱っこしながら、寝かしつけながら、お湯につけながら。
何度も「HELLO」を繰り返すと、難しい顔になって嫌がるけど、段々と口を動かして真似し始めた。
寝起きにやると、興味津々になることに気付いて、目覚めるとすぐに「ハロォー」と語りかけてた。
するとたった3ヶ月の赤ちゃんが、ついに「は・ろう」と発音したのだ。
さすがに僕も驚いて「言えた!」て言うと、
今度は「いえ・た・・」と発して笑っている。
動画を撮影しておけばよかったと思い、すぐに携帯で撮影したら、簡単に「はろー」が撮影できて、祖父母含め家族一同、驚愕の大感動。
きっと天才に違いない。そう確信した。
これが親バカの始まりだ。
1歳になるまでは母乳のみで育てた。
それは管理栄養士であるの妻の方針で、母体が十分な栄養状態を維持するために、妊娠中から、超高い自然原料にこだわったサプリメントとプロテインを、大量に飲んでたから。
妻がよく健康セミナーで話す理論によると、必須栄養素がすべてバランスよく摂れていると、全栄養素が効率よく吸収できる。らしい。
一つでも足りないと、足りない水準でしか他の栄養素も吸収できない。らしい。
だから、信頼できるサプリメントで補った体で作られた母乳を与えることが、最もいいはず。らしい。
栄養バランスがいい人は、精神も安定してるって話はよく知られている。よね。
するとこの子は、指吸いどころか、おしゃぶり与えても口にしない。
精神的にすごく安定していて、全然泣かないし、夜泣きもほとんどなかった。
駄々もこねない。ムズがらない。イヤイヤ期もない。
ニコニコと周囲を注意深く観察する子だった。
幼稚園に行っても、元気でほとんど熱も出さない。
流行の風邪にも罹らないので、ほとんど皆勤賞。
昼寝をしないのに大人と一緒に、毎晩10時以降まで元気に起きている。
これは脳の発達上よくないという先生が多いが、寝ないものは仕方ない。
ディズニーシリーズの映画を、遅くまで何回も見ていた。
それに影響を受けて、僕のことは「王子様~」って、呼んでくれてた。
それでお姫様のマナーを学んだみたいで、お行儀がよくなった。
その頃、うちには柴犬がいて、これが本当に面倒見のいい子で(犬がですよ)、娘が赤ちゃんの時から、そばにずっと付き添っていてくれた。
抱き合って寝てる写真がいっぱいある。
毛を引っ張ても、ワンとも鳴かない。
まるでお姉ちゃんの存在。
犬にエサを与えると、普通はがっつくと思うでしょ。
でもその犬は、僕が「ヨシ」と言わないと、ぜったいに食べない。
エサの前でまるで正座したように、黙ったまま何時間でも待ち続ける。
そのまま留守番させても、帰宅した時までも食べていない。
テーブルに僕らの食事を並べると、同じように正座して待つ犬。
決して盗み食いしない。賢い犬だ。(犬自慢バカ)
それを見てきたせいで、娘も黙って待つ癖がついたのか、レストランでも椅子に座ったまま静かに待っている。
同年代の子供がじっとしていられなくて、騒いで店内を徘徊しても、うちの子は静かにしていられた。
小学校では勉強も得意。
児童会の会長になって、みんなをまとめる手腕がいいのか、毎回通知簿にそう書かれている。
そんな娘が小5の時、中学受験したいと言い出した。
「どこでそんな話を聞いてきたの?」「どこに行きたいの?」
明確な返答が得られ、頑張ってた水泳教室をやめて、塾に行くことにした。
塾の説明を聞きに行くと、ちょうどその時、全国統一模試があって、それを受けることを勧められた。
結果、県内2位の成績。
ひえぇー! それほどまでとは!? 塾、必要なかったんじゃない?
1年ちょっと塾通いしたけど、偏差値が県内1位の中高一貫校に無事合格した。
作品名:親バカ(おしゃべりさんのひとり言 その30) 作家名:亨利(ヘンリー)