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続・くらしの中で

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その三



次女と共に子育てをした14年間は長くもあったが今思えばあっという間に過ぎたとしか思えない。
家族として繫がる実母、夫、娘二人ではあったが、その繋がりも時には意外なしっぺ返しを食らったことが度々あった。

子供が小学生のとき思いあまって児童相談所に一年ほど通ったことがある。素晴らしいカウンセラーの指導で貴重なことを沢山教えてもらった。
最初門をくぐったとき、カウンセラーが「安心の安は家冠(いえかんむり)に女」と書きます、お母さんが家の真ん中でドンと構えていると子供は健やかに、夫は機嫌よく暮らせるという意味だったと思う。

以来私は夫のすさまじい暴言や或る時には暴力を受けても、何の反発もせず数十年過ごした。私自身あまりにも自分勝手なそれまでの10年ぐらいの間のつけが回って来たのだった。暴れる夫に対抗しても何の得もなく、ただ病んだ子供が立ち直ることを願う一心でどんなことも我慢できた。


それにしても脳梗塞であんな猛獣のような症状が出るものだろうかと、精神病院の院長をしていた医師に聞いたら脳梗塞で暴れることはない、それは精神病ですと言われた。
元々精神病ではなかったので、虚血性認知症を併発したせいでそのような状態になったと思っている。その病気になると心に隠している悪感情を我慢することが出来なくて暴力を振るったり暴言として行動に出る。

もし自分がそのような病気になったら思わぬことを口走るかもしれない。
そんなことを考えると普段から心をきれいに保つことが必要かなとおもう。


 完
作品名:続・くらしの中で 作家名:笹峰霧子