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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
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ここに来た21 オーランド

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21 アメリカ フロリダ州 オーランド

 

この街と言えば、多くの人が知っているのは夢の世界、“ディズニーワールド”
街中の道路標識にまで、“隠れミッキー”が散りばめられている。
ディズニーの他にもユニバーサルスタジオや巨大プール、様々なテーマパークが林立する広大な湿地帯だ。
夜の街も賑やかで、大人も子供も楽しさいーっぱい。
でも私は、大学の卒業旅行で訪問して以来、2度目がない。

大分前に行ったその時のオーランドのイメージは、(やたら池が多いな)って思った。
それもそのはず、もともとは水浸しの湿地帯に街が作られたんだから。
でも、レンタカー移動だったから、あまり気にしてなかったんだけど、そこら中の水辺にワニがいる。
どの沼、川、用水路、ホテルの池にまで、黒っぽい小型のワニが浮かんでる。
泊ってたホテルのプールにもワニが来て、使用禁止になってた。
さすがに見飽きてしまうほどいるのだ。

ワニ料理の店もあって、試しに食べてみたけど、まあまあだった記憶がある。
最近もディズニーの池で子供を遊ばせてたら、ワニに引きずり込まれて死んだってニュースを見た。
沖縄のハブと共存してるみたいに、ワニとの共存を余儀なくされてる感じだろうか。

そんな私も、ものすごく危険な目にあった。
今から思えば、よく無事でいられたと思うのだが、あんな経験はもうしたくない。
それはホテルにいた時、売店が結構高いので、外のコンビニへ行こうと思ったら、誰も一緒に付いて来てくれなかった。
仕方ないから一人で行こうと思ったんだが、ホテルの前の道を左に200mくらい行けば、セブンイレブンがあることに気付いていた。
だから車じゃなく、散歩がてら歩いて行くことにした。

ホテル周辺には建物は少ない。
まっすぐに舗装された道路は交通量が多く、猛スピードの車が正面からやってくる。
時刻は薄暗い夕暮れで、ヘッドライトを点けていない車に、自分が見えているか心配だった。
時速何マイル制限の道路なのか忘れたが、高速道路の路肩を歩いているくらいの恐怖だったのを覚えている。
だから、わざと道路脇の草むらを、遠くに見えるセブンイレブンの明かりを頼りに、ただひたすら歩いて行った。
草むらには障害物がいくつかあって、それを避けて道路に出ることもあったけど、地面に落ちてる丸太ぐらいは、跨いで進んでいた。

・・・丸太?

少し違和感を覚えて振り返ってみると、今跨いだのは、1.5メートルくらいのワニだった。
よく見ると他にもいるじゃないか。
買い物を終えて戻る時は、後ろから猛スピードで来る走行車と、ワニ地帯の隙間を恐るおそる歩くしかなった。


怖い思い出をもう一つ。
夜に私たちは街に繰り出し、ビルまるごと使ったお化け屋敷に行った。
5階までエレベーターで昇って、参加者10人くらいが1列に並び、前の人の肩を両手でつかんで、電車のように1階まで通路を降りてくる間中、さまざまなモンスターが襲ってくる。
手を放す参加者がいるとギブアップの合図となる。
知らない人たちとグループを組むのだが、「Never Give UP!」と言われると頷くしかない。
私は運悪く、最後尾になってしまった。

いろんな映画に登場する悪役キャラクターに扮したキャストが飛び出して来て、襲うようで脅かすだけみたいな趣向で、かなり面白かったのだ。
何階かに備え付けられていた吊り橋のセットを渡っている時、背後で突然、
ヴィーーーンヴィーーーーーーーン!
という音が聞こえたので振り向くと、なんと! ジェイソン(『13日の金曜日』に出てくるの殺人鬼)がチェーンソーを振り回して追いかけて来るじゃないか。
私は大声で叫んだが、ユラつく吊り橋を行列は早く進んでくれない。
ものすごく怖かった記憶が鮮明にある。

夢の街だったはずが、私には悪夢の記憶の方が強い。
最近は娘が大のディズニーファンで、そのうちにそのうちにって思っていると、ディズニーランドに行きたくなって、つい東京ディズニーリゾートへ足を運んでしまっていた。
オーランドにも、そろそろ連れて行ってやろうと思う。
飛行機で片道20時間はつらいけど、私も楽しい夢で上書きしたいから。


     おわり