賭け事の確率論(おしゃべりさんのひとり言 その29)
賭け事の確率論
「パチンコで20万勝った」と落ち着いたように控え目に言う友人。
「すごいじゃない。よく勝つの?」
「どっこいどっこいかな?」
「毎週末行ってるでしょ?」
「平日も行ってる」と胸を張る。
「その半分は勝ってるってこと?」
「・・・いやぁ」
「競馬場にいるだけで楽しい」と涼し気な顔で言う友人。
「なんで?」
「景色がよくて、馬がきれいだから」
「賭けたりしないの?」
「そりゃ、行けばついでに馬券買う」と控えめになる。
「それが目的じゃないの?」
「いや馬が好きなだけだから」
「行かなくてもネットで買ってない?」
「・・・いやぁ」
こんな会話ってありがちだけど、空しく聞こえちゃう。
だってパチンコ、競馬、競艇など、博打は絶対負ける。
僕は論理(確率論)を優先する性格だから、そういう賭け事は一切しない。
でも宝くじは買う。(年間購入金額は5万円以下だけど)
博打と宝くじの違いは何なのか、僕なりに考えてみた。
今までの人生で、宝くじに投じた金額は100万円くらいだろうか。
それが今、手元に残っていたら嬉しいだろうけど、はっきり言って、それが残ってるだけじゃそれほどテンション上がらない。
賭け事の魅力って言うのは、投じた金額が何倍にもなるかもしれないと思うからこそ、テンションが上がってしまうことにあるんだろう。
億なんて金額は、確率的にはすごく低いだろうけど、誰かは当たる。
それが自分だったりすると思うと、そりゃテンション上がるでしょ。
逆にテンションが上がらない人は、絶対にお金を投じない。
じゃ、博打と宝くじ、何が違うのかな?
それは、一回に賭ける金額じゃなくって、期間なのだ。
宝くじは抽選の1ヶ月くらい前に買って、その間ずーっと大金持ちになった時のことを夢見ていられる。
これが大事。
結果は運次第だけど、『1ヶ月間の希望』をお金で買っていることになる。
そう思ったら安い買い物なのだ。
一方博打はどうかと言うと、毎週末、開催されるレースに出向き、日に何レースも賭ける。
それで当たればテンション上がって、次も頑張る。
外れれば意地になって、次のレースにもつぎ込んでしまう。
これでも『数十分間の希望』を買うことにはなる。割高だけど。
数十分ごとにお金を投じるのは、ワクワクとストレスのサイクルが短か過ぎやしないかな? 穏やかじゃいられない。
パチンコもストレス解消とか謳ってるけど、大勝ちすりゃそうだろうけど、負ければ、落ち着きを維持できるよう、上手に言い訳して、心のバランスを保ってる人いっぱいいると思う。
そんなことで精神修行するくらいなら、もっと他の方法考えよう。
さっき博打は、絶対負けるって言ったけど、“僕は”って意味じゃないですよ。
皆も絶対に勝てないんです。
そもそも博打は、主催者が儲けるために存在しているんですから。
つまり主催者は、『絶対に勝つ』ようになっている。
でも賭ける側が、『必ず負ける』わけではない気がしませんか?
そこが落とし穴、まやかし、罠、思い違い。
もし、儲かったことがあるって言うなら、そこで勝ち逃げしておいた方がいい。
僕が言いたいのは、賭け続けると必ず負けに近付いていくと言うことです。
主催者が損をするのは、賭ける人が極端に少ない時だけ、経費が回収できずに赤字になることはあり得ますが、それでも賭ける側が勝つことは絶対にない。
全体的には、賭ける側が負けるように、オッズ(当選の倍率)が計算されているからです。
つまり一部の人が大勝ち出来ても、大多数の人の負けを足すと、負けの方が大きな金額になるように、確率はうまく調整されているんですよ。
すべてのレース毎に主催者が儲かるようになっている事実。
レースを開催すればするほど、毎回儲かるからくり。
でも、(自分はラッキーで儲かることもあるかもしれない)って思いにすがってしまう人。
平準化って法則があるんです。
アンケートなんかを取ったら、その結果が全国的に通用するには、何人くらいの無作為回答を集めればいいと思いますか?
1000人らしいですよ。たった1000人。
それだけで大体の答えが出そろって、どこでアンケートを取っても同じような結果になるというのが統計学で判ってるそうです。
博打も過去にどんな大当たりがあったとしても、賭ければ賭けるほどに段々と平準化してしまい、設定された負けが決定して行くってわけです。
パチンコでも同じこと、玉を1000発も打ったら、負けが近付くってことだな。
そもそもパチンコはコンピュータ次第。
儲けさせるも破産させるも、店の思惑次第なんです。
レースのオッズなんか、もっと分りやすいじゃないですか?
賭ける人が増えるたびに、その対象の倍率が落ちていく仕組み。
絶対儲けさせない気でいるのヒシヒシと感じます。
で、僕は宝くじ。
生活に支障がない程度の金額を賭けて、楽しみに待つ。
他に何もしない。抽選結果も見ない。
見るとストレスになるから、賭けておいて希望だけ持ち続ける。
じゃ、当たってた場合、気付かないで損をするって?
いいえ、ネットで買ってるから、自動で当選を確認してくれる。
当たってたら、当選金は自動で振り込まれている。
外れても敗者復活みたいな抽選が年1回あるけど、それも見ておいてくれてる。
おまけにポイントまで付いて、次回購入時に使える。
何もしなくても、買って楽しみにしてるだけでいい。
宝くじだと穏やかに楽しめるし、この楽しみは100%約束されたもの。
もし数百万円以上が当たったりなんかすれば、もう簡単に平準化されるような金額ではない!
逆に外れ続けてるってことは、平準化されれば当たりが近付いてるってことですよね!
ほら、テンション上がる~!
これが僕流の賭け事の楽しみ方。
つづく
作品名:賭け事の確率論(おしゃべりさんのひとり言 その29) 作家名:亨利(ヘンリー)