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届かない声

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これから頑張るよとこれから火がくべられるモノに呟いた。
でも少し疲れたんだ。あちらであなたと笑い合える立派な人間になりたいと思ったけどこれまでの努力は自分の限界を教えてくれた。
自分はあなたにとって良い人でしたか、何か言い残したことはありませんでしたか。
私はあなたがいないこの生活が辛く苦しいです。あなたともっと話したかった。笑って欲しかった。その固い頬を緩まして欲しかった。
何も返せずに行ってしまったあなたに私は何をすればいいでしょう。ありがとうもさよならもいい足りない。
あぁ神様、出来る事ならもう一度あの人に会って、あなたの子で良かったと、あなたに育てられて良かったと言わせて下さい。
あなたの声を忘れ、匂いを忘れていく事が堪らなく切ないのです。
あなたと肩を並べて歩きたかった。寒い冬の中、お酒で火照った体を冷ましに一駅分多く歩きたかった。
弱音を吐く不甲斐ない子で申し訳ない。あなたが大好きで大好きで思い出すと溢れるのは涙ばかり。
あちらではもう苦しくないですか、家族と仲良くやってますか、心配しないでください。あなたに繋いでもらった命です。燃やし尽くして見せます。
ですから最期は労って頭を撫でてください。それが私の願いです。
作品名:届かない声 作家名:奏月