懸案事項?
「はい。お弁当です。」
いつものデートコースの公園。
最近のお気に入りの、藤蔓の木陰の木。
ベンチの中央に、私は手提げ袋を置きます。
隣に腰掛けてたシンちゃんが、中を覗き込みました。
「大荷物持ってると思ったら…重箱?」
「気合い入れちゃいました♫」
いそいそと私は、袋から重箱を取り出し、ベンチに並べます。
「どうぞ、召し上がれ♪」
「では、遠慮しなく」
嬉々として、箸を持った手を伸ばすシンちゃん。
その動きが、中空で止まります。
「これは…何?」
「ピーマンの肉詰めです」
「…」
「静香さんに、好物だって聞いたんですけど──」
「……僕は………何でも食べれる方なんだけど…………ピーマンはあんまり……………」
どうも私は、シンちゃんママに騙された様です。
「で、でも。」
諦めきれない私は、一縷の望みにすがりました。
「前に 一緒にお食事した時、私が食べられないで持て余していたピーマンを横から食べて、私の事を、おこちゃま扱いしてましたよね?」
「あれは、葉月ねーちゃんに見栄を張ったの!」
シンちゃんのピーマン嫌いは、確定のようです。
「葉月ねーちゃんが苦手なの知ってたから、間違っても入る事はないだろうと思って何でも良いと言ったんだけど、まさかピーマンのおかずになるとは……」
敗北感に打ちひしがれる私。
顔を伏せて、目が潤みそうになるのを我慢します。
「お、おかずは他にありますから…そちらを食べて……」
「あ、美味しい」
「え?!」
私が上げた視線の先のシンちゃんは、ピーマンの肉詰めを 口に運んでいました。
「─ うん、美味しいよ」
先程とは別の理由で、目尻に涙が滲みそうになるのを、どうにか堪えます。
「何せ…私の愛が、籠もってますから。」
「──ねーちゃんも食べなよ」
「私がピーマン苦手だって、知ってますよね? だから遠慮せずに、全部シンちゃんが 食べて下さい♡」
「───葉月ねーちゃん?」
「冗談ですよ♡♡」