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悪魔言詞録

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141.魔人 ペイルライダー



 誤解を解くというのは大変な作業だよな。

 人でも悪魔でもそうだけど、こうって一度思い込むと、なかなか考えって訂正できないものさ。それに自分の考えを撤回するということは、やっぱ恥ずかしいことだし。さらに誤解を解きたいこちら側は解くことで有利になる立場だから、相手は不信感も持ってる。そこを何とか手を尽くして相手に真実を訴えていく必要があるのさ。

 そういう意味では山登りに似ているよな、誤解を解くという行為は。手順を違えず正しく行わなきゃいけない。しかも絶え間ない努力が必要。それでも、相手の思い込みという名の頂上がはるかに上にあったなら、もう登頂は断念するしかない。それほど厳しい作業だと思うんだ。

 さて、そうなると、はじめからそういう努力を放棄してしまうものもやっぱり出てくるよな。もう誤解されたままでいいやって開き直っちゃうやつ。誤解を解く労力と、誤解されて嫌われる労力。このふたつのてんびんが後者に傾いちゃったパターン。もう疲れ果てちゃって、おまえら、言いたいことを言えばいいよってなっちゃう手合い、結構いると思うんだ。まあ、戦略的にあえて後者を取る人もいるかも知れないけど、それは、まあ、今は置いとこう。

 で、かく言う俺もその諦めちゃったひとりでさ、おそらく今の人間たちが抱いているであろう誤解を一身に受けている立場だけど、言うに任せているわけさ。どうしようもないからね。そもそも自分がそれほどいいやつだとも思ってないし、まあ、悪役という扱いでも構わないと思っているから。

 でもさ、召喚主さんぐらいには本当のことをぶちまけてもいいと思ったんだよ。あんたは半分悪魔だし。悪魔の実情もそれなりに知っているわけだし。

 と、いうわけで、俺は疫病を用いて人間を死に至らしめる存在だが、2020年前後にはやったあの病、あれはまじで俺の仕業じゃないからな。他の人間どもはどう思おうが勝手だが、召喚主さんだけは信じてくれ、本当に。


作品名:悪魔言詞録 作家名:六色塔