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悪魔言詞録

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147.天使 ソロネ



 はい、どうも。お世話になりますよ。

 あー、はいはい。そんな目をしてるってことは、まあ、私に聞きたいことはだいたい分かりますよ。どうせ、なんで車輪に括り付けられているのかとか、そんな目に遭ってつらくはないのかとか、そんなことを思ってるんでしょう?

 これね、実は私もよくわからないんです。私ね、座天使っていう位にいる天使なんですけど、神に創造されたときから車輪がくっついてるんですよね。
 ついでに言うと、車輪のところどころについている炎は別に熱くはないんですよ。でも、この炎が熱くないのか、私が炎に強いのか、どっちなのかはちょっとわからないんですよね。まあ、私、プロミネンスとか使えて火属性に強いんで、後者の可能性が高いんじゃないかと思いますけどね。

 ああ、そうそう。車輪の話でした。これ、さっきも言った通り、創り出されたときからこうなんで、理由はわからないんですよ。まあ、これも多分、神のおぼしめしなんでしょう。

 で、こんな拷問みたいな格好でつらくはないんですか、ってのもよく聞かれるんです。でも、最初からこうなんで、つらいとかいう感覚もないんですよね。これが日常なんですから。

 むしろ私に言わせれば、この世に生きる人の子たちのほうがつらいんじゃないかなって思うんですけどね。人生もくるくると回る車輪のようなものです。上り坂のときもあれば、下り坂のときもある。一番下で荷重がかかる瞬間もあれば、最上で泥除けに囲まれてまったりすることもある。良いときもあれば悪いときもあるというのは、さぞかし精神的に大変だと思います。
 反面、常につらければ、それが普通なのですから波のない人生みたいなものです。それを是とするか非とするかは置いときますけど。

 まあ、というわけで、皆さんの抱えているであろう疑問にお答えしましたので、一つよろしくお願いいたします。こんな車輪に括り付けられているやつですが、それなりにお役に立ってみせますよ。


作品名:悪魔言詞録 作家名:六色塔