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ぷっぷうのけん坊

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 私が屋根裏から同級生のマチ子の部屋を覗いていると、マチ子はカエルの解剖をしている。マチ子は生きたカエルの両足を股裂きの様に引き裂いた。
 マチ子の部屋には、カエルの他にもイモリやナメクジ等の死骸が散乱している。
 小学五年生のマチ子はとてもかわいく図書委員を私と一緒にしており、私はマチ子の事が好きだからこうやってマチ子の部屋を覗いているのだろう。
 マチ子は天井に向かって、
「マーくんも解剖してあげるから、降りてきなさいよ」
 と言うので降りていくと、マチ子は私の耳を剪定バサミで切り落とした。
 するとぷっぷうのけん坊が部屋に入って来た。
 けん坊は四十歳くらいのおっさんだが、身長も私と同じくらいで小さく、性格も明るく優しいので子どもたちには好かれている。
 けん坊は道路を歩くときいつもハンドルを握っている格好をし、カーブになるとハンドルを回したり、ギアチェンジをする。けん坊の知っている車は昔の車だから、ミッションでギアチェンジをするのである。合間には「ぷっぷう」とクラクションを鳴らす真似をするので、みんなから「ぷっぷうのけん坊」と呼ばれていた。
 けん坊は部屋の中でいつものように「ぷっぷう」と言い、ギアチェンジをした後、部屋から出ていった。
 私はマチ子に切られた耳を拾って、けん坊の後について外に出た。
 けん坊はしばらく歩くと、又「ぷっぷう」と言い、ギアチェンジをした。
 けん坊のすぐ後ろについて歩いていると、畳屋のよっちゃんに会った。
 よっちゃんはいつものように大きな声で「けん坊おはよう」と笑って言う。よっちゃんはけん坊より年上のおじいさんだが、いつもニタニタ笑いながら棒のアイスを食べている。よっちゃんはアイスを食べるのが遅いので、アイスが解けて落ちている。アイスと一緒によだれも落ちている。
 私が道沿いにある木に登りアケビを採っていると、上級生のウシジマくんがやってきて、
「オレにもひとつくれ」
 と言うので、仕方がないので腐りかけたアケビをやると、ウシジマくんが怒ってどこかへ行った。ウシジマくんはケンカが強いから、今度会ったらあやまろうと思う。
 家で両親がケンカをして、
「出て行く」
 と言って母親が私を連れて家を飛び出し、しばらく歩いていると、おなかがすいたのでうどん屋に入ってうどんを食べていると、ぷっぷうのけん坊が入って来て、
「ワシにもうどんを食わせてくれ」
 と言うので、半分くらいあげたら、満足したけん坊が、
「発車オーライ」
 と威勢のいい声で言い、うどん屋から出て行った。
 出て行く前にやっぱり、「ぷっぷう」と言って、ギアチェンジをした。
 母親が、
「けん坊は良い子ね」
 と言うので、
「けん坊は大人だよ」
 と私が言うと、
「大人でも私より年下だから子と言うのよ」
 と言った。
 けん坊の後をついて行くと、けん坊は村長の家に入り、仏壇に供えているまんじゅうをくれと言った。
 村長は、
「けん坊はまんじゅうが好きだな」
 と笑い、まんじゅうを二個あげて、ついでに私にも一個くれた。
 私とけん坊は道を歩きながらまんじゅうを食べていると、ウシジマくんに会ったので、食べかけのまんじゅうを私があげると、ウシジマくんはけん坊の持っているまんじゅうも取って、
「けん坊、これからどこへいく」
 と聞くと、けん坊は、
「発車オーライ」
 と言い、「ぷっぷう」とクラクションを鳴らし、ギアチェンジをして歩き出した。
 ウシジマくんは、
「けん坊は良い奴だ」
 と笑って言った。
 駄菓子屋に入ると、マスクをしている着物姿のオバさんが、
「その耳どうしたの?」
 と聞くので、
「マチ子に切られた」
 と言うと、
「マチ子ちゃんも困った子ね」
 と言い、耳をセメダインでくっつけてくれた。
「マチ子ちゃんとは遊んだら駄目よ」
 とオバさんが言うので、
「だけどマチ子かわいいから好きだ」
 と私が言うと、
「ちょっとこっちへ来なさい」
 とオバさんに奥の部屋に連れていかれた。
 奥の部屋には布団が敷いてあって、
「ここで休んでいきなさい」
 と言われたのでそのまま寝ていると、マスクを取ったオバさんが布団に入ってきた。
 オバさんが誰かに似ていると思ったら、深田恭子だった。
 深キョンが私の下半身を触りながら、
「マチ子ちゃんなんかと遊ばないで、私と遊ぼう」
 と言うので、しかも何だか気持ち良くなってきたので、オバさんと遊んでもいいと思ったら、けん坊も布団に入ろうとするので、オバさんが、
「けん坊は、又今度ね。そのかわりドーナッツあげるから、外で遊んできなさい」
 と言い、ケン坊にドーナッツを二個渡した。
 けん坊は、
「発車オーライ」
 といつもより大きな声で言い、「ぷっぷう」とクラクションを鳴らし、ギアチェンジをして店から出て行った。
 
作品名:ぷっぷうのけん坊 作家名:忍冬