ピクニックな人生(おしゃべりさんのひとり言 その27)
ピクニックな人生
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昔、懸賞に当たりました。
賞品は「地球リゾートの旅」です。
そして、地球へやって来たんです。
この星ではたった数十年しか滞在できませんが、精いっぱい楽しみたいと思っています。
地球は、全銀河から観光客が集まるリゾートプラネットです。
危険な種族も来ていますが、そんな輩は相手にせず、少し行動に気を付けていれば大丈夫。
元いた世界とのギャップを感じなくするために、記憶はすべて消して来ました。
ふつう皆、そうでしょう?
地球でのホストを両親と呼んでいます。
始めの内は、そのホストから地球での生活の基礎を学びました。
そして、スクールへ通って、滞在に必要な知識を学び、この星でやりたい事をするために、自分の希望の道へ進むためのスキルも習得してきました。
私には、生きるか死ぬかのサバイバルなんてスリルは必要ありませんから、気楽に滞在しています。
こっちで知り合った仲間と力を併せて生活していて、同じ道を歩むパートナーも得たので、次に地球リゾートへやって来た女の子一人のホストにもなりました。
この星に遊びに来れてよかったと思います。
慣れない星での生活に、トラブルは付き物で、うまくいかないこともいっぱいあります。
でも、せっかく地球に遊びに来たのですから、そんなこと気にしないで、思いっきり楽しみましょう。
この星での人生は、ピクニックみたいなものですから。
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僕はこんなふうに考えることがあります。
色んな事に挑戦してきて、うまくいかない事だらけだったからかもしれません。
楽観的な性格が幸いして、嫌なことは忘れていくのですが、それが出来ない人が大勢いることにも気付いています。
そんな人から相談を受けることも多くなって、人それぞれにその解決法を見付けてあげたり、力になってあげることで、信頼関係を深めてきました。
でも、どうしようもなく悩み落ち込み、現世に絶望して、立ち直れない人もいるのです。
そんな人たちに対して、考え方として、こういう表現をしてきたのですが、もしあなたの地球旅行が終了して、元いた世界に帰ったら、そこでは更に厳しい現実が待ち構えているなんて、嫌ですよね。
だから今のうち、もっともっと楽しもうよ。
僕は地球から帰りたくありませーん。
つづく
作品名:ピクニックな人生(おしゃべりさんのひとり言 その27) 作家名:亨利(ヘンリー)