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嗚咽

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 本当に頭がおかしくなりそうだ。キルケゴールではないが絶望という言葉だけが今の私の真実を語っている。あれだけいつも何かしら燃え立っていた脳は、いまや完全に萎びている。それは哀しいまでに行尸走肉そのものだ。
 昨晩夢を見た。かつての愛犬が老いて惚けてしまったときのことだった。夢の中の私はその愛犬の様子に涙を恥ずかしげもなく流し嗚咽した。だがそれは今考えると、もしかしたら私自身の姿だったのかもしれない。そう、私は、情けない今の私自身の姿に、嗚咽せずにはいられない。
 自分自身というものが無くなりかけている。ただ、うすく、徐々にではあるが確実に自分の存在がうすくなっていくのを私は感じる。
作品名:嗚咽 作家名:新川 L