キンタマ(改稿)
修学旅行先の温泉で気付いた。
金玉を両手でニギニギしている友達を見て気が付いたんだ。
俺には片方の玉しかニギニギできないんっだって・・・
人には本来2つの金玉があると知った時、俺は人じゃないのだと思った。
不安だった・・・でも両親には相談できなかった。
本当の子共じゃないなんて、俺自身、受け入れられないし、親だって対応に困るだろう。
俺はヒッソリと生きた。
片金だと皆に知られれば、何からのルートを経て両親の耳に届き、俺が本当の子じゃないと気付いてしまうかもしれない。
そうなったらきっと「お前は私たちの子ではない」という言葉聞く羽目になる。
それが怖くてオレ誰にも聞けなかった…
最近、思う。
つまり俺は地球人じゃないのかもしれない…
俺は、ひとまずUFO関連の文献を読み漁る事にした。
万が一でも宇宙人の両親が迎えに来る可能性を考慮に入れて・・・
1分後
さっきから、お空を見上げても全くUFOが見えん。
畜生!何所にいやがるんだ!!
俺がいきりたっていると、遠くの方から、なにやら声が聞こえた。
俺の返事に答えてるみたいだ。
UFOに違いない。
俺は必死で叫んだ。
UFOもそれにあわせて言葉を返してくる。
だが、それが山彦だったと気付かなかったのは、俺の人生の最大の汚点だった。
気付いたら、時はながれてたらしく、5年の月日が経っていた。
俺は何をしているのだろうか・・・人生を棒に振ってしまったとしかいえない。
だけど、ふと冷静になってみると、こんな波乱万丈な人生なんてそうそう無いよな。
小説として俺の体験談を公表すれば沢山の人に読まれるかもしれない。
そしたら読者が片金の真相を突き止めるかもしれない。
よし、俺はとりあえず、「ハーメルン」へ投稿してみた。
それにしても俺の人生は何だったのだろうか。
金玉の真実ばかりを追いかけて、気付けば34歳だよ。
嫁さんと子共が居てもおかしくない歳頃だよ。
なんで引き返せなかったんだろうか。
でも、良く考えてみれば、答えは簡単だった。
人は努力をすればする程、途中で諦めるのが難しくなる。心理学用語ではそれをコンコルド効果というらしい。
〜コンコルド効果の概要〜
(wikipedia引用)
「埋没費用効果 (sunk cost effect)」の別名であり、ある対象への金銭的・精神的・時間的投資をしつづけることが損失につながるとわかっているにもかかわらず、それまでの投資を惜しみ、投資がやめられない状態を指す。超音速旅客機コンコルドの商業的失敗を由来とする。
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金玉の真相さぐるのを途中で止めてしまったら、これまで金玉に費やした全ての努力が水の泡となる。
俺の20年以上の努力が全てパーとなるのだ。
それだけはどうしても認められんのだ。
だからといって、これ以上、金玉に溺れるだけの人生は嫌だ。
だから俺は、金玉を今日から断ち切る事にする。
一分後
駄目だ!
やっぱり金玉を忘れられない!
どうやっても金玉の事が気になってしかたがない!!
そりゃそうだよな。20年以上、金玉を追い求めた男だぞ。
もはや俺は金玉の伝道入りしてもおかしくない。
国から金玉の称号が欲しいくらいだ。
でないと、俺の20年が一切報われないだろうが。
それにしても、くやしいな・・・
誰も、俺の努力を認めやしない。
金玉を追い求めた人生がそんなにいけないのか?
馬鹿にして笑うなんて、胸糞悪い。
俺の存在を否定してる奴らは、人の気持ちが全然判ってない。
おまえらも、俺と同じ立場になってみろ。
金玉から抜け出すのは容易なことじゃないのだぞ。
と、心の中で思った瞬間、俺は何かが吹っ切れたのだと思う。
俺の気持ちを理解して貰うには、皆が俺と同じ立場になって貰うしかないのだ。金玉が片方無い人生を体験してみれば俺の気持ちが判るはずなのだ。
そう、俺は人々から片方の金玉を奪う仕事を始めた。片金ハンターになったのである…
おら!背後からの不意打ちキック!
民間人「うが!」
おら!背後からの不意打ちキック!
警察官「はぐっあ!!
おら!背後からの不意打ちキック!
総理大臣「ぬぬぬぬ!」
気付けば俺は通り魔の様な存在として扱われていた。
だがある日の事、オレの不意打ちキックに耐えた男がいた。
「わたし、身体の構造は女なのよね…」
お鍋というやつである。
「あなた、片方の玉に未練があるからそんな中途半端なのよ。私がその残りの玉も破壊してあげるから」
え!??
えええ??!?
えええーーーえーえええーー!!!!??!?
た、たすけてーーーーーーーーーーーーーーー!!