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引き篭りニートの親、VRゲームにハマる

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寺井と部下たちは念の為、ピストルを隠し持っていた。車の荷台にはロケットランチャーやマシンガン、手榴弾を積んでいる。
あくまで念の為である。


別荘内はもぬけの殻であり、マサシがそこにいた痕跡すら無かった。
次にどこへ向かったのか、少しはその手がかりに期待していた寺井は、溜め息を吐く。

マサシの捜索で疲れていたので、別荘で一晩休むことにした。

寺井は腹が空いたので、何かを食べようと思ったが、近くに店は無いらく、あるのはピザ屋だけだった。ちょうど部下も腹が減っていた。

組員は体育系なので、一人で3、4人前は食べてしまうから
寺井は20人前のピザと酒を注文した。


配達に来るピザ屋が任侠顔に驚くといけないので、人の良さそうな顔をした寺井が対応を受けた

ピザ屋は嬉しそうに話をした。

「こんなに一度に注文を受けたのは初めてです。月間MVP売上、お客様が一気に一位になりました。これは記念品です。」

「……」
寺井は、もしかしてと思い聞いた

「そうです、一昨日くらいまで、ここを借りていたお客様も、毎日御利用なさっていました。」

「この記念品は?」

「ええ、お得意様でしたので、記念品を贈呈たしましたが……」


寺井は漠然と違和感を感じていた。

寺井はおもむろにマサシのメッセージを見た。受信した時刻を確認した。記録によると、ピザ屋の配達がくる10分前に受信していた。その時間マサシは薬物でラリっていた筈で、

寺井
「そのお客さんの様子覚えてますか?」

ピザ屋
「様子ですか? いつもと変わらず普通でしたよ? 」

寺井は思った。薬物の影響は顔に出て、逝っちゃってる表情になるはずで

ピザ屋
「いつもと違うといえば、水道管が破裂して惨事になったそうで、工事の人が来ていましたよ」

惨事になったという割には水浸しになった形跡がない。床材はワックスが剥げる程老朽化している。水浸しになれば跡が残る筈で


寺井は考過ぎて疲れた。
面倒なので部下に考えてもらおう

部下
「かしら、魔法のマントの殺人ビジネスの件、覚えてますか? 本家から数人、潜り込ませてマサシを監視させたのですが、マサシはどうやら、ゲーム中に死ぬとリアルの自分も死ぬと思ってたらしいです。

寺井
(ゲーム中に死ぬと死ぬ? 何を訳のわからないことを)

部下
「で、かしら、それが原因でマサシは何人かの部下を失ったそうで、VRでの仕事の殆どを一般人にやらせていたそうです。」

寺井
「……」

部下
「調べてみると、実際に組員の何人かが、行方不明になっていて……」

寺井
「行方不明なのは、マサシと一緒に逃亡してるからじゃないのか?」

部下
「実はその可能性はないんです。」

寺井
「どうして言いきれる? 死体でも見つかったのか?」

部下
「いえ、マサシは、頭や本家に対して組員を私物化したのをバレるのを恐れていました。マサシは死体を巧妙に隠していたので痕跡は全て消しました。」

寺井
「言ってる意味が分からないぞ。死体を巧妙に隠して痕跡も消したのなら、死体なんて見つからなかった、ということだろ。なんで死んだなんて断定できるんだ? マサシと一緒に逃亡したか、あるいはバラけて逃亡したんじゃないのか?」

部下
「実は会長に『組の恥になる!』といわれて
頭にも黙ってろ、と言われたのですが……」


部下はUSBメモリをポケットから取り出して、ノートパソコンに接続した。

部下
「このデータは、マサシの部下が、マサシにも気付かれない様に、こっそりとコピーして隠し持っていたものです」


寺井はパソコンに表示された映像を見た。
中身は行方不明になってる組員らの死体が撮影されたもので、
マサシが死体を弄ぶ姿が撮されていた。

部下
「気持ちいいものでは有りませんが、ここをよく見てください。」
寺井は部下の指した部分、死体の頭部を見た、

「死体の頭部に焦げた様な形跡が見えませんか?」

寺井はそれが焦げなのか、それとも血液が酸化して黒に変色しただけなのか判別できなかった。

「ゲームのヘルメット端末から電気が流れてきて脳が焼かれる。もしも、ですが、あくまで仮定の話なのですが、ゲームで死んだ人間は実際に現実でも死んでしまうのでは、ないかと」

寺井はVR内で死んだ経験がないから、分からない。
でもネットにはそういう「死んだら死ぬ」噂も流れていることを寺井は知っていた。
だからといって、噂を信じきる理由にはならない訳で、
そういえば
噂の中には、水道工事のドリル音で殺人の悲鳴やらの音をかき消してる。なんとか説とか政府の陰謀で、限りある資源を確保する為に人を減らしている等の噂があった
寺井はフィクションではありえても、ノンフィクションではありえ無いと思ってて

しかし噂を完全に信じきってるプレイヤーは結構いる。「ゲームをしたら死ぬ、だから辞めよう」と警告活動する団体もあるくらいだ。

部下
「噂によると『水道工事があると、死人が出る』というのもありますが、別荘で水道工事があったとピザ屋が証言しています」

その水道工事はどこがやってるか判るか?

「近くの業者だと思いますけど、電話してみましょうか。」

寺井
「好きにしろ(笑) 本当に陰謀なら口封じとかで俺らが攻撃を受けるだけだ。楽しそうじゃないか。幸い武器も持ってるし迎え撃とう」

電話をかけた部下

部下「もしもし、先日そちらで水道工事を受けた者ですが、トラブルあるので来ていただけないでしょうか、あ、はい、住所は……」


20分後、寺井たちは、いきなりの展開(ヘリコプターからの銃弾の嵐に巻き込まれ)に命からがら山中に散らばり逃げた。幸い竹林に潜むことで敵のヘリコプターの監視を欺いた。

逃げ出す途中、寺井たちは敵の猛攻を受けだ。

組員の何人かが、捉えらえ、拷問にかけられた。口を割るのは時間の問題で、
いずれ○○組とその本家に所属していることが判ってしまう。そうなったら組も攻撃を受けるのか、あるいは見逃して貰えるのか、

陰謀が、真実として人口削減を実行しているなら、人として面倒で邪魔な存在であるヤクザが真っ先に殺しの対象(ターゲット)に
されるハズだ。

もしかしたら、ナギも殺すかもしれない。ナギが将来組を引き継ぐかもしれないとすれば、親族が皆死ねば国を恨んで仇なす存在になるかもしれない。芽が小さいうちに摘んでおくのが国の役目なら…

…組をあげた国との全面戦争になる。

国に勝てる筈がない。正面から戦うなんて死ね と いっているようなものだ。
組に戻らず単独で逃げるのが正解かもしれない

寺井は

走り過ぎて喉が乾いてる
民家の外にある、水道から水を飲む

人に助けを求めたら、どうなるのか、
巻き込むだろうか

だとしても、助かるには人を盾にするくらいでないと、逃げられない

寺井は家屋に侵入し住民を脅して軽トラックの鍵を得た。エンジンをかけようと外にでた瞬間、ヘリコプターからミサイルが飛んできた。

軽トラックが破壊された

ヘリコプターは、寺井に狙いを定めている。弾丸雨がふる

思わず屋根のある家屋に逃げ込む、ヘリは構わず撃ってくる、住民の安否を確認する余裕はない