君は愛しのバニーちゃん
鼻の下を伸ばしながら首を傾げている俺は、ズレた眼鏡を直すと美兎ちゃんを見上げた。
「……えっ?! 大変っ! 瑛斗先生、大丈夫?!」
「大丈夫、大丈夫。ちょっと肩が凝ってるだけだから……」
俺の嘘を素直に信じる美兎ちゃんに向けてヘラリと笑ってみせれば、心配そうな顔をしていた美都ちゃんが小さく微笑んだ。
「じゃあ、後でミトがマッサージしてあげるね?」
「……えっ。い、いいの?」
「うんっ!」
満面の笑顔を向ける美兎ちゃんにバレないよう、小さくガッツポーズを作る。
(まさかの、美兎ちゃんにマッサージをしてもらえることになるとは……)
そんなことつゆ程も期待していなかった俺は、慈悲深くも神々しい美兎ちゃんに向けて蕩けた笑顔を見せた。
「……っ。ありがとう、美兎ちゃんっ!」
(あぁ……。女神様のように美しい、俺のうさぎちゃん! 本当は、股間が痛いんです。そう言ったら、股間もマッサージしてくれますか……?)
そんな邪《よこしま》な考えを膨らませる俺を他所に、汚れのない笑顔を向ける美兎ちゃん。
俺は感動と喜びにキラリと一筋の涙を流すと、歓喜に震える笑顔で美兎ちゃんを見上げながら、それはだらしない顔をして鼻の下を伸ばしたのだった。
作品名:君は愛しのバニーちゃん 作家名:邪神 白猫