左端から見れば全部右寄り Part-4
2.日本学術会議について
日本学術会議なる組織がちょっとした騒ぎになってます。
これまで推薦されればほぼ自動的に承認されていたのが、今回推薦された105人の内6人が承認されなかったのです。
そのことに対して『政治の学問への介入』であるとか、『首相に拒否の権限はない』などとして、抗議の声が上がっているのです。
そもそも日本学術会議とは内閣府の特別機関で、予算は年間約10億、任期は3年で再任はされないとされていますが、一度任命されれば生涯250万円の年金を受けられるのだそうです。
設立されたのは昭和24年、その趣旨は「科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させることを目的とする」とされています。
昭和24年と言えば戦後4年目、日本が技術立国を目指して再始動し始めた頃で、設立の趣旨は合理的です。
今回承認されなかった6人を見て見ましょう。
■東京大社会科学研究所教授の宇野重規(しげき)教授(政治思想史)
2013年12月に成立した特定秘密保護法に対し、「民主主義の基盤そのものを危うくしかねない」と批判。「安全保障関連法に反対する学者の会」の呼び掛け人にも名を連ねていた。07年に「トクヴィル 平等と不平等の理論家」でサントリー学芸賞受賞。
■早稲田大大学院法務研究科の岡田正則教授(行政法)
「安全保障関連法案の廃止を求める早稲田大学有志の会」の呼び掛け人の1人。沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設問題を巡っては18年、他の学者らとともに政府の対応に抗議する声明を発表。
■東京慈恵会医科大の小沢隆一教授(憲法学)
15年7月、衆院特別委員会の中央公聴会で、野党推薦の公述人として出席。安保関連法案について「歯止めのない集団的自衛権の行使につながりかねない」と違憲性を指摘し、廃案を求めた。
■東京大大学院人文社会系研究科の加藤陽子教授(日本近現代史)
憲法学者らでつくる「立憲デモクラシーの会」の呼び掛け人の1人。改憲や特定秘密保護法などに反対してきた。10年に「それでも、日本人は『戦争』を選んだ」で小林秀雄賞を受賞。政府の公文書管理委員会の委員も務めた。
■立命館大大学院法務研究科の松宮孝明教授(刑事法)
17年6月、「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法案について、参院法務委員会の参考人質疑で、「戦後最悪の治安立法となる」と批判。
■京都大の芦名定道教授(キリスト教学)
「安全保障関連法に反対する学者の会」や、安保法制に反対する「自由と平和のための京大有志の会」の賛同者。
全て文系ですね、日本学術会議の趣旨である「科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させることを目的とする」に当たるでしょうか?
日本学術会議には栄誉会員の規定があり、2020年10月現在は赤﨑勇、江崎玲於奈、小林誠、小柴昌俊、益川敏英、根岸英一、鈴木章、利根川進、李遠哲、吉川弘之の各氏が認定されています。
いずれも科学技術に優れた業績を残された方々で、ノーベル賞を受けられた方も散見されますね、趣旨からして納得できます。
ですが今回問題になっている6人はどうでしょう? いずれも安全保障法制や犯罪防止関連法に反対されている方々ばかりです。
反対するなとは言いません、政府の方針がすべて正しいと言うわけではありませんし、監視の目は光らせていなければなりません。
しかし、政府の方針に反対しながら身分と年金は保障しろというのは違うと思いませんか?
私が思うに、安全保障や犯罪防止に関する法令に問題があるとは思えません、国を守り、国民を守るためなのですから。
それに反対するのは自由です、ですが、それなら政府から距離を置くべきでしょう、そうでなければ監視にならないのではないかと思うのですが。
『政治は学問に介入するな』と言いますが、別に政府は学問に介入などしていません、そうでなければ上記の6人が大学教授でいられるはずがないじゃないですか。
つまり菅首相は、上記の6人は日本学術会議の趣旨から外れているので承認しなかっただけのことで、それが慣例から外れるのならば慣例の方がおかしかったのです。
『首相に拒否の権限はない』と言いますが、内閣府の機関なのですから、任命するかしないかの裁量権は首相にあります、例えば企業がその経営方針に批判的な学生を採用するでしょうか? しませんよね、同じことではないですか?
『政治は学問に介入するな』『首相に拒否の権限はない』というのは当たりませんし、傲りなのではないかと感じてしまいます。
首相は直接選挙で選ばれるわけではありませんが、国会議員は直接選挙で選ばれます。
与党は国民が選んだ政党であり、首相はその議員から選ばれて任に就いているわけです、『政治は学問に介入するな』『首相に拒否の権限はない』というのは国民に対して言っているのと同じではないかと思うのです。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
それともうひとつ。
『政治は学問に介入するな』と言いますが、日本学術会議は学問に介入しているのです。
それは『軍事的安全保障研究に関する声明』です。
>日本学術会議が 1949 年に創設され、1950 年に「戦争を目的とする科学の研究は絶対に これを行わない」旨の声明を、また 1967 年には同じ文言を含む「軍事目的のための科学研 究を行わない声明」を発した背景には、科学者コミュニティの戦争協力への反省と、再び 同様の事態が生じることへの懸念があった。近年、再び学術と軍事が接近しつつある中、 われわれは、大学等の研究機関における軍事的安全保障研究、すなわち、軍事的な手段に よる国家の安全保障にかかわる研究が、学問の自由及び学術の健全な発展と緊張関係にあ ることをここに確認し、上記2つの声明を継承する。
だそうです。
1950年の声明、これは敗戦から5年後に出されたものですね、『戦争協力への反省』とありますが、非常に短絡的だと思います。
そもそもGHQに刷り込まれた史観を踏襲しています、つまり『日本が悪い』です、あの戦争に進んで行った過程に関する考察が抜け落ちています。
開戦に踏み切った判断については賛否両論があって良いと思います、しかし開戦してしまった以上、科学技術によって日本を守ろうとしたことを間違いだとするのはおかしいと思います。
『再び同様の事態が生じることへの懸念』はGHQの立場に立った物言いだと思います。
『近年、再び学術と軍事が接近しつつある中』とは? 1950年から1967年の間に日本が戦争を起こそうとしたことがありましたでしょうか? 1967年から現在に至るまではどうでしょう? 一度もありません。
それなのに1967年の声明では『軍事的手段による国家の安全保障にかかわる研究』と言う文言が現れます、『国家の安全保障』ですよ、領土拡大ではないんです、つまり自衛隊には協力しないと言うことです。
その反面、日本学術会議は中国科学技術協会と提携を結んでいます、つまり、日本の科学技術は中国にダダ漏れなのです。
作品名:左端から見れば全部右寄り Part-4 作家名:ST