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耐える力

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その五



大人になる。20代・30代・40代・50代・60代・70代以上・・
人は生まれたその時から各年代でそれぞれの圧力が掛かる。
それに耐える力を持ち合わせていないといつも負け犬として生きていかねばならない。

私は高校卒業直後に病気をしたので、回復を待って家から通学できる学校へ幾つか通った。
地元の学校の最終は栄養の専門学校で二年間通い、栄養士の免許取得した。
卒業後母親が就職させようと頼み込み小学校の助教諭となったが、必要に迫られているわけではなく軽い気持ちだったので半年でやめた。

そのとき23歳だったが意地の悪い最年長の女教諭が居て、事ある毎に陰口を言っていたのが私の耳にも聞こえて来た。何もできないくせにというのと若いというのが軽蔑と嫉妬の入り交じったいじめの原因だったようだ。

小学生の時から習っていたピアノが弾けるということで音楽会の合唱の伴奏もやらされた。
栄養士の免許があるということで給食の担当もさせられた。
その他どういうわけか保健室の担当もあり体育教師の会に出席させられた。

なにもかも充分な知識を持たないままの担当は熟練教師からみれば「お遊び」としか見えなかったのだろう。彼女らの陰口を聞いても左程感知しなかったのは、自分が大人として闘うほど成長していなかったからだと思う。

母の元でぬくぬくと育ち、病気をして大学を休学していてもその先に広がる未来へ夢を抱いていた頃だった。



作品名:耐える力 作家名:笹峰霧子